Photoshop world Column
     
 
  ここ最近、仕事で海外へ行くことが多くなりました。
というと格好いいのですが、要は現地取材とリサーチなので、毎回毎回限られた時間をやりくりするハードなスケジュールばっかりで、行った国々をゆっくり満喫する暇もありません。
ですが、せっかくいろいろな国に行ったりするので、どうせならば、その国々で行われてるいろいろなイベントなどをたくさん見てこよう!そして見たものを皆さんになるべく多くの写真でお届けしよう!と、思いたち、今月からコラムのスペースをいただきました。取材という観点ではなく、あくまで私が個人的に興味を持ち、セレクトして、見聞きしてきたものをお届けする予定です。もちろん日本国内で見たり行ったりしたものなどもご紹介していくつもりですので、どうぞよろしくお願いします。
 
     
  さて、第一回目は「Paris Photo 2007」です。
日本ではあまり有名ではないようですね、このフェスティバル。Photoshop worldの皆さんならば、ご存知の方も多いかと思います。私は不勉強だったので、去年までその存在すら知りませんでしたが、世界中から有名ギャラリー、出版社、アーティストたちが参加して、多くの写真作品をルーブル美術館の一角に展示します。今年で開催11年目を迎える「パリ・フォト」、今年の開催期日は11/15〜11/18の三日間で、14日に行われたレセプション・パーティではかの有名なファッションデザイナー、カール・ラガーフェルド氏も会場にあらわれたとか。ただのゲストではなく、彼自身もアーティストとして写真を出展しています。
     
 
 
     
 
  会場では、思い思いに写真を眺める人、アーティストやギャラリ−関係者と商談する人、ブースの中に置かれているカタログや写真集やグッズを手にとる人など、様々です。昨年は三日間で4万人ほどの集客だったようですが、今年はどうなのでしょうか。各ブースの中にはシャンパーニュを飲んでいる売り手の姿も。作品が売れたんでしょうか?
 
     
  ところで私はさきほどフェスティバルと書きましたが、それは実際に行って見た大きさの規模の素直な感想で、「パリ・フォト」はその場で写真作品の売り買いが行われる見本市、サロンです。写真作品をただ展示して眺める、ということだけではなく、作家やギャラリーが客と直に接して写真をプレゼンテーションしたりコミュニケーションする場所です。
それは画廊などで絵画を買うのと同じような感覚なのでしょうね。(ある作品の値段を確認すると1800ユーロでした。約170円で換算すると30万円以上、ということになりますね)
     
 
 
 
     
  会場ではデジタル処理の作品を多く見かけました。色味や光などの加減は言うに及ばず、ありえないものの合成や、Photoshopのフィルターを使っているもの、3DCGを多用しているものなど「作り込んである作品」です。有名な日本画をCGで再現している作品もありました。商業ベースのデジタル加工写真作品を見慣れていても、アートとしての性格を考えてそこに含まれるメッセージを捉えるとまた違った感覚です。そこには一点もの絵画やアートにも匹敵する強烈なパワーを感じます。写真が持つ、捉えた瞬間のリアル、というアイデンティティと並列して、このようにリアルなメッセージを作り込むというアイデンティティが確立していきつつあるのでしょうか。  
     
 
 
 
     
  そんな中で私が気になったのは、このモノクロの写真たち。古い写真の持つノスタルジーの中にある白と黒の空間の鋭さが好きです。さすがに購入する勇気まではありませんでしたが。。  
     
 
 
     
  毎年11月はパリは写真月間になるのだそうです。もし、皆さんも来年の11月にパリを訪れることがありましたら、「パリ・フォト」を見てみてくださいね。ちなみに、入場料 は15ユーロでした。

 
     
 
串間美千恵
dicro animation studio代表2004年日本エンジェル大賞受賞。 2007年、同受賞作「魔法昆虫使いドミター・レオ」で児童書作家としてもデビューを果たす。デザイン、映像、執筆業などをこなす。Photoshop world Art Director。
http://www.domitor-leo.com/
 

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