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Photoshop world Reportage:アラキミドリ
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アラキミドリ [Abstract Truth]
vol.4[アラキミドリのクリエイティブ]
プロダクトデザイン、オブジェ、空間演出、映像インスタレーション、書籍出版、etc。
ジャンルの垣根を越え幅広いフィールドで活躍する女性アーティスト、アラキミドリ。
立体のオブジェやプロダクトデザインを得意とする彼女に、
Photoshopworldでは、あえてアートブックの制作を依頼することとなった。
そして、折しもアラキは妊娠中…。
(07年11月17日に無事男児が誕生されました!)
図らずも特別な状況での制作となった今回のアートブック。
アラキのクリエイティブは、いったいどんなイメージを生み出すこととなったのか?
最終回、ついにその全貌が明らかになる。
もしそれが言葉で言えてしまうことなら、
わざわざ作品を作らずに
言葉で説明してしまえばいいと思うんです。
餃子(封筒)用に制作された今回の作品。「ネズミ」や「家」など、アラキらしいモチーフが登場している。
Photoshopworld Staff(以下、PW)
「そろそろアートブックの締め切りが近づいてきましたので(笑)、今日は作品についてお話を伺いたいと思っています」
アラキミドリ(以下、AM)
「はい(笑)。えっと、今回はイメージブックにすることにしました。中綴じにして、絵本のような体裁で。載せる情報も少ないので、イメージをふくらましやすいものになると思います」
PW
「制作したオブジェを写真に撮り、ビジュアルブックのようなものになるのでしょうか?」
AM
「そこに文章も入れて、文字と写真の構成にします。私、本に興味があるのかな?本にしようと思ったらやる気が出てきたんですよ(笑)」
PW
「最初にお話を伺ったときは、“観念的になりすぎないで”作品を作りたい、とおっしゃっていました。実際に作られてみてどうでしたか?」
AM
「そうですね、今回はゆっくり進めることができました。フワ〜ッと浮かんできたイメージを研ぎ澄ますことなくカタチにしてみたんです。いつもはもっと突き詰めていくんですが、今回はあえて宙ぶらりんなものにしてみたいと思って。ラフなものをそのままカタチにすることで、今までとは違うものがピンと浮かぶかもしれないと思ったんです。できあがったものは、意味不明でゆるいものかもしれないんですけど(笑)」
PW
「なるほど。そういえば、当初作られていた
ニンニクのオブジェ
はボツになったんですか?」
AM
「ニンニク、いっぱい作ったんですけど、そもそも同じものを作るという行為が「作業」や「構成」になってしまっていて、それを意識したら宿題になってしまったんです」
PW
「観念的になってしまったということですね。それは今回やりたかったことではないと…」
AM
「そうですね…。対相手がいて完璧にコミュニケーションをとる、という作り方ではなくて、もっと整理されていないものを作りたかったのかな」
PW
「では具体的に、最終的にカタチになったものについてお話を伺えますか?ゴム手袋やネズミ、お菓子などが登場していますね」
AM
「ゴム手袋は昔から好きなんですよね。中に綿を詰めてみたら変なカタチになったので、また好きになりました(笑)。ネズミは、なんだか精子に見えるという人もいるんですが(笑)、自分のなかでは“種”のイメージに近いかな。発芽しているけど、まだ芽になっていない過程のものですかね」
PW
「アラキさんの中には、気になるキーワードのようなものがあるんですか?」
AM
「わりと毎回気になっているのは、うさぎ、家、ネズミ、ゴム手袋、骨とかですね。理由は分からないんですけど、好きなキーワードです」
PW
「確かに今回もお菓子の家が登場していますね」
AM
「その人にとっては意味のある、“好き”な感じってありますよね?“なんだろう?”って思うツボというか。今回はそういうポイントというか、ゆるくても自分が見たいと思うものをカタチにしてみたんです」
PW
「さらにそこに言葉が入ってくるわけですが、何を書くか(言うか)、最初からイメージはあったんですか?」
AM
「私の作品には言葉がよく登場するんですが、言葉から発想しているわけではないんです。作ってみて、最後に整理するために言葉にする感じですね」
PW
「言葉は最終的に登場するもの…」
AM
「言葉で言えてしまうことや、明快なものなら、わざわざ作品を作らずに最初から言葉で説明してしまえばいいと思うんです。そういう言葉にできない部分を表現するために、作品を作っているんじゃないかな」
餃子作品のラフイメージを描いたデッザン。
アートブックの体裁を選ぶアラキさん。
お菓子でできたネズミの家。
撮影はアラキさんのアトリエにて。もちろん撮影もアラキさんが行う。
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