フォトショップユーザを対象にしたコミュニティ Photoshop world

![]() |
基本編 | 印刷出力基礎知識編 |
印刷出力基礎知識編 |
![]() |
印刷入稿の手引き:画像の分割とストリークにご注意 凸版印刷(株)情報出版事業部 技術開発本部 技術SE 出版CS チームディレクター 紺野慎一 |
今回は「画像の分割とストリークにご注意」です。このタイトルだけを聞いても、なんのことやら?と思われるかもしれませんが、実は印刷現場では要注意の問題が発生しているのです。ただし、今回の注意点は、Photoshopの単独使用ではなく、Illustrator CS2やInDesign CS2などと組み合わせて使った場合の問題です。ではどのような組み合わせかというと、Photoshopの画像データをIllustratorにリンクで配置した場合と、それをさらにinDesignに配置した場合です。Photoshopをメインに使っている人には少し分かりにくいかもしれませんが、デザイナーにはピンと来るはずです。直接的なPhotoshopの問題ではないのですが、出力する上では、よくある例なので、知っておくといざというとき問題を回避できます。 ルール:配置画像は原則「埋め込み」。リンクでの配置は「TIFF」を使用する。 さて、では何が問題なのかというと、まずは「画像の分割」。PhotoshopのPSDやEPSデータをIllustrator CS2にリンクで配置すると、画像が勝手に分割されてしまうのです。Illustratorのバージョン10以下ではこのような問題は発生していないのですが、なぜかCS以降、特にCS2では画像が分割されます。 |
![]() 実際にプリントしてストリーク(極細の白線)が発生してしまった画像。 |
分割された画像の致命的な問題は、プリントの際にストリーク(=極細の白線)となって現れることです(上図)。これは、重大な品質事故につながる問題といって過言ではありません。もっとも、分割部分がすべてがストリークになるとは限らず、この問題を複雑にしています。ただし、Illusrtrator CS 2に、PhotoshopのEPS画像をリンクで配置して、AIネイティブ(.ai)で保存。それをInDesign CS2に配置して出力した場合は、ほぼ必ずストリークが発生します。またPhotoshop EPSをIllustrator CS2にリンクで配置し、IllustratorからPDFを直接生成した場合も同様にストリークが発生します。また、見かけ上問題なくとも、IllustratorにPhotoshop画像のPSDやEPSを配置すれば、その画像は予期せず分割されてしまいますから、それがストリークを含むなんからのトラブルの原因になる可能性は排除できません。 |
![]() 画像の分割は保存の際に行われるため、Illustrator上では確認できません。Illustratorネイティブ(.ai)、または、PDF保存したファイルを、Acrobat Professionalで開き、「TouchUpオブジェクトツール」で画像を選択すると、分割の状態を確認できます。図は左から、PSD、EPS、TIFFの各形式です。画像の分割は、配置するファイル形式が影響します。PSD形式、EPS形式では分割が発生しますが、TIFF形式では発生しません。また、PSDとEPSでも分割される頻度が異なります。図のようにPSDとEPS形式では、画像が分割されていることがわかります。PSDよりEPSのほうが、画像の分割数が多くなるようです。また、高解像の画像データや、サイズの大きな画像データの場合は、分割やストリークが発生しやすいです。 |
そこで、画像の分割およびストリークを回避する方法ですが、 [1]Photoshop画像はTIFFで保存し配置する [2]PhotoshopのPSDやEPSを配置する場合は埋め込む(データが重くなりますが) [3]配置画像を含むIllustratorのデータをInDesignへ配置する場合、 Illustratorの保存形式をEPSにして配置する などが挙げられます。Photoshopユーザの視点から考えれば、この問題を回避するには[1]の画像をTIFFで運用すればよいということになります。ただ、実際にレイアウトデータを作成する場合は、印刷会社と相談した方がよいでしょう。皆さんもご注意を。 |
凸版印刷(株) 紺野慎一 |
2007.06.15 |