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【Photoshop for Print】
基本編 印刷出力基礎知識編

印刷出力基礎知識編
プロファイル変換の大原則
瀬飛寅男(せっぴとらお)
先日ある人から相談を受けて返答に困るどころか呆れてしまった。一番目は「デザイン側からの要望として画像をJMPAで入稿したい」ということで、どうなんでしょう? という質問。二番目はその画像の受け手側の印刷会社が「大丈夫ですよ。ウチのほうでJMPAからJapan Colorにプロファイル変換しますから」と言っているということだった。オイラに相談した人間は「なんか?だな」と思ってのことらしいのだが、こういう質問に答えられるには人間ができていることが必要で、オイラのような肝っ玉の小さい人間には到底無理というものなのだ。

銀塩時代なら最高級アート紙でポスターを印刷するのにレンズ付フィルム(写るんで…?)の画像を使うようなものだ。デジカメを例に挙げるならHexachromeやKaleidoといった広色域印刷で印刷するのに携帯電話とまでは言わないが、コンパクトデジカメの画像を使うようなものだ。…とここまで言っておきながら、この場合はRGBで考えているからまだマシかな? とか考えてしまった。とにかくこの手の質問には、変換によるトーンジャンプ等のトラブルを含めてコメントしたくないというのが正直なところだ。

しかし、これでは話が終わってしまうので、ここはぐっと堪えてコメントしておく。


1.まず、プロファイル変換は一回にまとめるのが理想である。

2.プロファイル変換はやればやるほど品質は劣化する。

3.しかし、劣化を少なくするために16bitを使おうというのは筋が違う。

4.100歩譲って、大きい色域のJapan Color(枚葉印刷)から小さいJMPA(オフ綸)なら
  オイラ的に目をつぶる。

5.しかし、1,000歩譲ってもJMPAからJapan Colorの変換は目をつぶれない。

6.しかししかし、商売のためと割り切るなら、10,000歩以上譲って目をつぶっても良いかな?
  とフレキシブルには考えている。

7.だが!プロファイルを付け替えて(指定し直し)Japan Colorにするのは認められない。
  結果は彩度が上がるわけでウソっぱちのデータとなる。これも詐欺の一種?

8.十分な色情報を持ったAdobe RGBデータから各印刷プロファイル(各デバイス色域)に
  変換するのが基本である。これこそRGBワークフローの真髄だ。


ということなのだが(ああ疲れた)、最近ICCプロファイルの一人歩きが目に余るので、今回は少しプロファイルについてコメントしておきたい。どうもICCプロファイルという代物は覚えると使ってみたくてしかたなくなる魔力を秘めているらしく、最近の乱用はまさしくそういうものだ。以前にもインプットプロファイルでこういうことがあったが、CMYK to CMYK(4×4)変換などもトラブルの危険性などを十分認識してやってほしいものだと切望する。タバコや花火のように「品質のため、使い過ぎには注意しましょう」とか「必ず大人と一緒に使いましょう」なんて表示しておけば良いのにぃ…。

さてプロファイルの話、本題だ。ICCプロファイルとはそれだけで権威的で、水戸黄門の印籠のように「Japan Colorのプロファイルが目に入らぬか」と言われれば「ハハー」とかしこまるしかない。しかしその実態はというと、Japan Colorと言いながら、良いJapan Colorのプロファイル、悪いJapan Colorのプロファイルなど様々だ。元々Japan Colorとはプロファイルのことではなく印刷条件なので、バラツクのは当然なのだが同じ測色値からプロファイルを作っても、プロファイル作成ソフトによって性質はかなり異なってくるのだ。

今回はPhotoshopに添付されているJapan Colorと二大プロファイル作成ソフトで作ったAとBを比較してみたい。黄色にフラッシングしている部分は、色差の大きいピクセル順で大きいものから並べて、差の大きな10%に入るものが黄色い部分ということである。Bのほうが明るい部分で色差が大きいのに注目してもらいたい。もし、どうしても色がうまく合わないところが出てしまうなら、本来目立たない暗い部分に集約したいのが自然な考え方だろう。そうなっていないのがBなのだ。Aは差を暗い側に寄せ過ぎており、少々バランスが悪い。平均色差やその他のバランスを考えても、Photoshop付属のJapan Colorはよくできていると感心する(つくづく感心)。皆さんも自信を持って使っていただきたいものだ。
[オリジナルのRGB画像]
この画像に対して、いくつかのCMYKプロファイルで、CMYK変換を行い、色差をチェックする。
[A]
プロファイル作成ソフトAで作成したCMYKプロファイルによる変換後の画像。
色差の大きな部分が、やや暗い側に集まっている。
[B]
プロファイル作成ソフトBで作成したCMYKプロファイルによる変換後の画像。
頬の明るい部分で色差が大きいことがわかる。明るい部分の色差は目視でわかりやすい。
[Photoshop付属のJapan Color]
Photoshop付属のJapan ColorによるCMYK変換後の画像。
色差のバラツキがまんべんで、偏りがない。また、図の右下のΔE値を見ても、その優秀さがわかる。
今回はあまり解説しすぎるのも面白くないので少々疑問を残して終わりにするが、次回からは懇切丁寧に解説したい。


わらまあ(藁谷 真)
瀬飛寅男(せっぴとらお)
わたくし姓は瀬飛(せっぴ)、名は寅男、人呼んでアミテンの寅と発します。
神田川で産湯をつかい、ガキの頃から活字とインキをおもちゃ代わりに育ったケチな野郎でございます。これまでデジタルの名の下に散々色々なことをやって放蕩三昧の生活でしたが、そのヒット率はと言いますと「印刷に関しては四割打者目前、マルチメディアは松井クラス」というのが正直なところでございましょうか?ただし、なぜ違ったかについては?十分な説明をするのをモットウとしております。


  瀬飛寅男
(せっぴとらお)
  2007.07.03
 
 
 
 
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