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広色域印刷もプロファイルが命 瀬飛寅男(せっぴとらお) |
今回は少し趣向を変えて広色域印刷まわりの話をしてみたい。広色域印刷というと6色とか7色インキによる多色色再現をまず連想されるだろう?しかし、現在のPhotoshopのスペックではCMYKしか扱えない。とはいっても心配はいらない。RGBワークフロー時代では、メディアがCMYKだろうがWebだろうが、Kaleido(CMYK広色域インキ)だろうがHexachrome(6色広色域インキ)だろうが、元原稿はRGBなのだからレタッチはどんなメディアだろうとRGB原稿に対して行えば良いということだ。
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![]() [図1] |
広色域印刷には限らないが、RGB元原稿から広色域印刷のカラースペースに変換する際に気を付けなければいけないことは、カラースペースの大きさだけではない。色のトーン、つまり色の傾向が元原稿の雰囲気を残している必要があるのだ。 例を見てほしい。Adobe RGBいっぱいに作成したRGBCMYのビリヤード球で、もちろんRGB原稿だ。この原稿の色情報をxy色度図上に分布させたのが図1である。(分布分析にはMDツールNo.2を使っている) |
![]() [図2] |
しかし、ノーマル印刷であるJapan Color 2001で印刷してやると図2の様になる。グリーン球が一番顕著だと思うが、歪んでいるのが一目瞭然でわかるはずだ。 |
![]() [図3] |
しかし4色ながら顔料を改良して高彩度を得ているKaleidoインキで印刷すれば、kaleidoにはグリーンインキがないので緑領域での目覚ましい伸びはないものの明らかにストレートに伸びている。(図3) (彩度が高ければ良いというものではないが、ブルーの彩度は非常に高い)要するに、これこそストレートな色再現なのだ。 |
色に関した職人たちは「この色はC何%M何%Y何%だ」というような絶対値には強いのだが、色の伸びを色相的にとらえるのには慣れていない。せいぜいトーンジャンプをチェックするくらいが関の山だった。しかし、図1,2,3の様にビジュアル化して見ればよーくわかるはずである。また広色域印刷用の原稿をsRGBで入稿する人もいるようだが、sRGBではJapan Color 2001でも再現できてしまう。広色域印刷でわざわざ印刷する必要などまったくないのだ。sRGBもしくはAdobe RGBでもsRGB域の色情報しか持っていない原稿で広色域印刷しようとするから、差を付けようとして無理なレタッチなどしてせっかくのトーン再現を台無しにしてしまう。この辺は肝に銘じていただきたい。
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瀬飛寅男 (せっぴとらお) |
2007.11.16 |