【Photoshop for Photograph】
写真加工テクニック編 撮影テクニック編

撮影テクニック編
人物撮影:女性モデルを用いた人物撮影1(入門)
稲垣 英徳
デジタルカメラの時代になって、多くのデザイン事務所、広告代理店などで発生した最大の変化は、デザイナーなどの各自クリエイターが、自前で商品撮影や、モデルの撮影をする事が多くなった事です。

このモデルを用いた人物撮影tipsシリーズでは、多くの代理店やデザイン事務所で行われる低予算の撮影から、ハイエンドのカメラマンの領域の事まで、段階的に説明していければと思います。カメラなどの機材等も、デザイナーや映像系の方がカジュアルに用いるコンパクト機から、本格的なロケでのデジタル一眼レフやスタジオでの中型デジタル機材、及び周辺の照明機材まで段階を追って紹介出来ればと思います。日程、及びその他の都合が許す限り、なるべく同一のモデルを用いますので、撮り方のテクニックや後処理の仕方でモデルの見え方が大幅に変化するところなども比較して説明出来ればと思います。

モデルの色々

写真1 【画像1】
モデルと言っても市場によってスタンダードが随分変わります。左は欧米の主要Agencyに所属するハイファッションモデルの平均的身長、右は日本のモデル事務所に所属する方達の平均身長をベースにした比較です。但し、日本に多い読者モデルと呼ばれる人達を入れると、平均身長差はさらに大きくなります、
現在のモデルを絡めた撮影は、筆者の活動している北米市場の2007年秋現在の場合、文字通り、日当が最低賃金程度しか出ないものから、色々な物込みで、日本円で数百万円から一千万円に届く(これが数日以上〜一週間程度続く日程となります)規模のもの迄、非常に幅広く存在します。もちろん、ジャンル毎の違いもありますので一概に言えませんが、随分幅のあるものなのです。

カメラマンの報酬でさえこの幅ですから、モデルのギャランティーも、最低賃金以下ーーー実質タダのものから、スーパーモデルと呼ばれる方達の一日1万ドル以上(人によっては4万ドルを超えます)まで、それこそピンキリという事を理解する必要があります。

もっとも2007年現在の傾向としては、所謂トップ女性モデルの相場として、東欧系のそれなりの訓練を受けたハイファッションモデルの方達が$1000〜と綺麗にバランスがとれており、スーパーモデルを避ける傾向が顕著になって来ています。このような選択やモデルの相場に関しては、流行があるとしか申し上げられませんが、ただ言えるのは、同じ様なキャリアのモデルで比較した場合、一日の報酬が$100程度のモデルと$1000のモデルとでは、やはり写した時の容姿に雲泥の差があり、値段相応と言えるのも確かなのです。

片や、日本国内では市場傾向がちょっと異なり、女性モデルの底辺安定と言うべきか、コンパニオンなどのエントリーレベルの女性モデルの報酬は逆に横並び的に安定しており、2007年現在では2万円程度からが多いとされます。また、かなりの著名モデルの子でも、ギャランティーが一日で10万〜20万円(例外は在ります)程度とそこまで高くありません。おそらく日本では、カメラマンがスカウトしたタダの素人モデルさん、雑誌などの読者モデルと言われる人達も多い特殊なモデル市場事情ということもあり、非常に少数の雑誌専属モデルと、街頭などのキャンペーンなどが主な用途のコマーシャルモデル / コンパニオン、そしてギャランティーが発生しにくい主要雑誌などの読者モデル、それらを中心とした世界となっているのです。

良く言えば、日本国内では、目的のモデルの所属する事務所との交渉が成立して、きっちり問題無くブック出来れば、そこまで欧米の様にモデルのコストで頭を悩ませる事は少ないと言えますが、逆を言うと、選択幅も限定的で、所謂ファッションやアート撮影などを行うには不向きな傾向があるのです。その辺りについてはこのシリーズの後半の方に述べたいと思います。

< Back  1|  Next >
  稲垣 英徳   2007.11.13

このページをブックマーク

Proudy Partner with