Column


小島勉さんインタビュー  
期せずして画像処理の世界へ
トッパンの小島さんと聞いてピンときた人は、かなりの写真通である。といっても小島さん自身が写真家だというわけではない。写真家の作品づくりを支えるプリンティングディレクター、言わば写真家にとっては縁の下の力持ち的な存在だ。最近ではあちこちでインクジェットプリント出力に関するセミナーや講演、雑誌の執筆を務めることも多い。
小島さんの現在の肩書きは「(株)トッパングラフィックコミュニケーションズ 第二制作本部GA部プリマグラフィ チーフディレクター」。長らく化粧品など商業印刷物の製版として画像レタッチの仕事をこなしてきた小島さんだが、今では写真家などアート作品を出力するための画作りや色作りをサポートする仕事が主だ。このようなアートと技術をつなぐような仕事に就いた理由はと尋ねたら、「学生時代はCOBOLとかFORTLANなど情報処理の勉強が楽しくて、プログラマーになりたかった」という答えが返ってきた。学生時代、就職活動をしているとき、偶然会った卒業生の先輩に「製版会社だけどコンピュータを使って画像処理をやっているんだよ」、「面白そうですね」と入社試験を受け採用となった。それがスタートだ。
とはいっても、すぐにデジタル画像処理の仕事に就いたわけではない。アナログのレタッチや製版スキャナー、後に述べる画像処理ワークステーション(Scitex社 Imager III)用のスキャニングの仕事などを経験する。そこでは「印刷での色や調子の再現を適切に行うための、また後処理をしやすくするための絵づくり、データ作りの基礎や考え方を学びました」。その経験は今でもかなり活きているという。

書斎のような小島さんの作業スペース。
「実は廃棄予定の倉庫でほこりをかぶっていたオフィス家具を流用しています。色が黒なので使いやすいですね。」
タブレットとの出会い

やがて当時最先端と称されたScitex社の画像処理ワークステーション、Imager III (レスポンスシステム)を利用して画像処理を行うようになる。Imager IIIには、そのワークステーションの机そのものが画面と1:1のタブレットになっており、また机の左側にはトラックボールもあった。
「Imager IIIはタブレットとトラックボールの両方を操作しなければ動かせない機械でしたが、トラックボールで画像を移動しながら、1:1のペンタブレットでゴミを消したり、肌を修正したりしていました。次に使ったのがPrismaxという専用機でしたが、これにはワコムさんのタブレットが付いていましたね。やがて、MacintoshやPhotoshopが高性能化、高機能化していき、専用機に取って代わり今に至るわけです。」
ということは、つまり小島さんはマウスではなくペンタブレットで画像処理を覚えてしまったということ。今でもそれほどマウスを使う頻度は多くないという。むしろ、画像処理の仕事で使う時はマウスだとストレスを感じるほどだとか。そして、意外にワコム製品との付き合いも長いことが発覚。もちろん今も…?
「もちろんIntuos3です。入力エリアがA4サイズのPTZ-930とケンジントンのトラックボールを使っています。トラックボールは左手で使うというのではなく、右手にペンを持ったまま、その中指や薬指でトラックボールを操作しています。左手は主にキーボードのショートカットですね。これが私のベストなオペレーションデバイス、オペレーション環境です。」


Intuos3と同様に欠かせないのがトラックボール。
Intuos3のペンを持ちながらトラックボールを操作し画像をドラッグする。
photoshopとの出会い
Photoshopを使い始めたのは調整レイヤーができたバージョン4くらいから。「実際に仕事で使うようになったと言えるのはMacのパフォーマンスも上がってきた5.5くらいからでしょうか。今は、すべてMacで仕事しています。DTPなども含め、印刷・製版関連の機材もずいぶんとダウンサイジングしましたね。Mac1台でデザインから製版データまで作れてしまうのは驚きです。これほどまで変わるとは昔は想像できなかったですね。」


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