Column
Photoshop world Reportage
  アーティストが作品を作るとはどういう事なのか。思考し、作り上げ、表現する。その姿を追ったドキュメント「Photoshop wrold Reportage」。今回のアーティストは写真家・中野正貴。50代にして初めてPhotoshopに挑戦する姿を追う。  
  中野正貴  
vol.1 「50代からはじめるPhotoshop講座」 - [準備編]
     

緑色にペイントされた自作の本棚に、ぎっしりと並ぶ国内外の写真集。山積みになったネガボックスと、オールドスクールな現像機…。突然の雷雨が東京をおそった5/15日、秘密基地のような写真家・中野正貴氏の事務所に、Power Mac G4がセッティングされた。「パソコンも使わないし、Photoshopは使ったこともない」という中野氏が、ついにPhotoshopに初挑戦する。本誌編集長を講師に迎え、「50代からはじめるPhotoshop講座」が幕を開けた。

 
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テーマ
artwork
8×10のフィルムを二枚重ねて印刷し、わざと画像をダブらせ(エラーやバグを引き起こし)、そこに新たなビジュアルを見いだすという中野氏の作品「ダブル」。初めてのPhotoshopでは、この「ダブル」で使用したフィルムをスキャンし、Photoshop上でのデジタルミックスにチャレンジする。アナログ人間・中野氏にデジタルツールがインストールされることにより、中野氏はどんなアウトプット(作品)、もしくはどんなエラーを引き起こすのか?こうご期待!

1.インストール

「Adobe Creative Suite 3 Design Premium」をインストール。まずはDVDをドライバーに入れ、セットアップをダブルクリック。DVDにはページレイアウトやイラストレーションなど、Photoshop以外のツールも入っているので、自分に必要なツールを選択し、保存先にMac HDを選んだらインストール開始。マシンスペックによっても違うが、インストールには20〜30分かかるのでしばし休憩。
※ベータ版を使用しています。

事務所に置かれたG4を見て、「セットしたけど、この威圧感にやられちゃうよな」と、ちょっと弱気な中野氏。インターネットがうまくつながらない、とのことなので、講義の前にまずはネットワークの設定から。パソコン自体がはじめてなので、慣れるのには時間が必要だ。ソフトのインストールに思いの外時間がかかり、みんなで画面を見つめていると、「じっとしてるのが嫌でカメラマンになったのに…」と不安げな顔。しかし、Photoshopの深遠なる道のりはまだはじまってもいないのである。

2.Photoshopを立ち上げてみる

インストールが完了したら、次はアプリのセットアップ。よく使うツールなので、保存先であるHD内のアプリケーションフォルダから、PhotoshopをDockにコピーしておくと便利。また使わないアプリを終了してからPhotoshopを立ち上げた方がいいので、コマンド+tabキーでアプリを切り替えながら、関係のないアプリを終了。Dockのアイコンをワンクリックし、いよいよPhotoshopを起動。はじめて使うときはシリアルナンバーを入力。認証をしてユーザー登録をしたら準備完了だ。

大学時代はグラフィックを専攻していた中野氏。「Photoshopも、きっとはまればやるはずなんだけど…」。それもそのはず、2000年に出版したキューバの写真集『CUBA Dia y Noche』(求龍堂)では、1枚10時間以上もかけて、完全にアナログな手法で画像合成している。その熱量たるや、やりすぎてボツになった作品が続出するほど。ワンカットずつマスクを切りながら、印画紙に手書きでレイアウトを書き込み、カットごとに時間を変えて投射していくという気の遠くなるような作業だ。「でも人に見せると、どうせ合成でしょって言われるんだよね。ちがうのにな〜(涙)」

3.フィルムをスキャン

スキャナーにフィルムをセット。このとき表面を下にしないと反転してしまうので、フィルムの向きには注意。ファイルメニューの「読み込み」からスキャナーを選択すると、スキャナーのアプリを立ち上がる。画像の解像度を設定し(印刷する場合は通常350dpi程度)、プレビューをクリックしてフィルムを読み込む。取り込みたい範囲を選択したら、今度はスキャンボタンをクリック。画像が取り込まれるので、ファイル名を入力してデスクトップに保存。


mistake!!!
スキャンしたファイルを開いてみると、消しゴムサイズのちっちゃい画像が…。どうやら取り込み範囲の設定が間違っていたらしく、作品の一部しかスキャンできていなかった(確かにスキャンの速度が異常に速かったことに気づく…)。
いよいよ中野氏がPhotoshopに!と盛り上がったところだったので、一同拍子抜け。気をとり直してスキャンし直し、今度こそPhotoshop講座の本題へ。

【machine spec】


model:Power Mac G4
OSX:10.4.9
scanner:Microtek ScanMaker 8700
printer:Canon BJ A3版 ink jet printer
pen tablet:Wacom intuos2
to be continued.
 


 
※映像中、シリアル番号等、個人情報にかかわるものが音声に入っていたため、「ピー」音で伏せてあります。
 
中野正貴  
中野正貴:
1955年、福岡県生まれ。写真家。武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン科卒業。写真家、秋元茂氏に師事。1980年頃より雑誌表紙、各種広告撮影を手掛ける。2001年、写真集「TOKYO NOBODY」で日本写真協会賞新人賞を受賞。2005年、写真集「東京窓景」で第30回木村伊兵衛写真賞を受賞。「TOKYO NOBODY」で、東京という世界有数の大都会をまったく無機質で虚無な人口物の集合体として表現し、「東京窓景」はそんな東京にささやかな温かみを与えた作品となっている。

>>www.artunlimited.co.jp/nakano/

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