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アーティストが作品を作るとはどういう事なのか。思考し、作り上げ、表現する。その姿を追ったドキュメント「Photoshop
wrold Reportage」。今回のアーティストは写真家・中野正貴。50代にして初めてPhotoshopに挑戦する姿を追う。 |
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中野正貴 |
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vol.2 「50代からはじめるPhotoshop講座」 - [合成編 1] |
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覚えているだろうか?はじめてパソコンに接したときの戸惑いと感動を。ワンクリックとダブルクリックの違いもあやふやで、すべてが特殊な専門用語に聞こえた在りし日々。今、写真家・中野正貴は、まさにその初体験のさなかにいる。さらにはじめてのPhotoshopでいきなり合成にまで挑戦しようというのだから、記念すべきデジタルツールとの邂逅は相当ハードな思い出になるに違いない。オーバードーズ気味に突き進む「50代からはじめるPhotoshop講座」、第2回目はいよいよ(やっと?)目的に合わせたPhotoshopの使い方にチャレンジする!
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二枚の画像の重ね合わせ方、またPhotoshopでどんな効果を加えることができるのか、画像合成の基本的な操作を学ぶ。 |
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1.二枚の画像を重ねてみる
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まずは、前回デスクトップに保存したスキャンデータをPhotoshopで立ち上げる。
「ファイル」メニューから「開く」を選択し、デスクトップのファイルを選択するか、ファイルを直接ドック内にあるPhotoshopアイコンにドラッグ。同様にふたつのファイルを開いたら、作業がしやすいようにパレットなどを小さくしておく。上に重ねる画像を「command+A」で全選択し、「編集」メニューの「コピー」を選択(もしくは「command+C」でコピーできる)。もう一方の画像を選択し、今度は「編集」メニューの「ペースト」を選択(もしくは「command+V」)。 |
他人 がどうやってパソコンやソフトの操作を覚えているのか、不思議でしょうがない中野氏。「みんな最初はどうやって覚えているわけ?」(中野氏)。「やはり最初は職場や学校で教えてもらうことが多いと思いますよ」(編集長)。「そうだよね。これじゃパソコンやるたびに誰かに電話かけなきゃいけないよ」(中野氏)。「いくらやってもパソコンは壊れないので、どんどんチャレンジしてみてくださいね」(編集長)。「早くも挫折しそうだな…。ギターでも弾こうか?まあ、ギターも同じリフしか弾けないんだけどさ…」(中野氏)。というわけで中野氏演奏、レッド・ツェッペリン『天国への階段』(さわりのリフ限定)の動画配信なるか?皆さまからの反響次第で前向きに検討します(多分)。 |
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2.不透明度をいじってみる
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ペーストすると、画像がふたつ重なった状態になる。この段階では二枚の画像の重なりのために、ペーストした上の画像だけが見えている。次に、フィルムを重ねたように二枚の画像をミックスするため、レイヤーパレットで「不透明度」を調整。この時レイヤーの上にある画像が選択されていることを確かめておく。スライダーを動かすと徐々に下の画像が透けてくるので、バランスのよいポイントを探してみる。
ちなみに、画像処理や画像加工を前提とするならば、できればRAWデータで撮っておきたい。JPEGの8ビット画像だと色飽和を起こしやすいからだ。はるかにキャパの広いRAWで撮っておき、ある程度色味を現像で調整した画像を利用した方が安心だ。さらに、慣れてくれば16ビット画像にもトライしてみたい。 |
「デジタルで撮影すると、どうしてもフラットな色調になってしまい、なんだか全部同じような色になってしまうんだよね」と語っていた中野氏だが、Photoshopでの画像加工を目の当たりにし、「…ということは、ストレートフォトの細かい色調補正も自分でできるっていうこと?」とだんだん興味が沸いてきたようだ。この色補正に関しては次回以降でチャレンジすることに。
また「『TOKYO NOBODY』や昔のプリントも、退色する前にデジタルデータにしておきたいな」とのこと。「データにできたら、Photoshopで『NO
BODY』に人を合成してみようかな(笑)、今までさんざんデジタル合成でしょって言われてきたから(笑)。」 |
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3.画像処理をメニューから選択 |
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不透明度を調整したら、今度はレイヤーパレットのメニューからいろいろな「描画モード」を試してみる。手軽にさまざまなエフェクトが選択でき、「色相」や「彩度」などのメニューを選ぶことで全体の色味が劇的に変化する(ものもある)。気に入ったパターンができたら、メニューから「別名で保存」を選び、PSD形式で保存。また、「ちょっと前のあの状態に戻したい」というときは、「ヒストリー」を辿って何回か前の状態まで戻ることができるので便利だ。
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「俺、どんどんハデにしちゃいそうだよ(笑)」と、「描画モード」の「差の絶対値」によって生じるハレーションのような効果がお気に入りの中野氏。「アナログだといちいちプリントして確かめないといけないけど、デジタルは果てしなくやれちゃうね。まだ何ができるのか確かめている段階だけど、空間のズレというか、どっちが上でどっちが下か分かんないようなことができたらいいな。」 |
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4.プリントしてみる
プリンタはメーカーや用紙の種類によって色の出方が違うので、基準をとるためにも一度試しにプリントしたほうがいい。この時、プリンタ特有の設定を使うと勝手に色補正されてしまうことがあるので、そのあたりには注意が必要。カラーマネージメントの設定が重要だが、「はじめてのPhotoshop」の中野さんにカラーマネージメントはやはり難しい。おいおい勉強していきましょう。
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「完成図というか、どうしたいかをはっきりさせないと、デジタルだと終わりなくいじっちゃうから危険だね。自分の思惑とは違うモノが出てきて、どんどんズレていくところがオモシロイんだけど、同時に(機能に)振り回されちゃうから。フィルムには失敗のオモシロサがあるけど、デジタルにも計算外のハプニングが起きることが分かってきたから、ちょっと楽しみ」(中野氏)。基本的な操作を一通りやってみたところで、中野氏には宿題として今までの操作で自由に作品を作ってもらうことに。次回はおさらいをしつつ、「レイヤーマスク」にトライする。 |
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to be continued. |
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中野正貴:
1955年、福岡県生まれ。写真家。武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン科卒業。写真家、秋元茂氏に師事。1980年頃より雑誌表紙、各種広告撮影を手掛ける。2001年、写真集「TOKYO
NOBODY」で日本写真協会賞新人賞を受賞。2005年、写真集「東京窓景」で第30回木村伊兵衛写真賞を受賞。「TOKYO NOBODY」で、東京という世界有数の大都会をまったく無機質で虚無な人口物の集合体として表現し、「東京窓景」はそんな東京にささやかな温かみを与えた作品となっている。
>>  www.artunlimited.co.jp/nakano/
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