Column
Photoshop world Reportage
     
  Joe Satake [Schnabel Effects]  
vol.2 [サタケさんてどんな人?]
 
       
バイト生活にさよならを告げ、いざ恐怖の海外旅行へ。
紆余曲折を経てたどり着いた成功へのカギは?
PW「大学ではグラフィックデザインを学ばれたんですか?」

SE「いや、デザインにあまり興味が持てなくて…。在学中はシルクスクリーンのワークショップのアシスタントをやらせてもらっていました」

PW「じゃあ授業にはあまり出ず、シルクスクリーンの工房にいたと。そこでシルクスクリーンをはじめられたんですか?」

SE「そうですね、そんな感じです。あと、その頃大竹伸朗さんにスゴイあこがれていたので、スクラップブックを作ったりしていました」

PW「ちょっとみうらじゅんともリンクしますね(笑)。どんなものをスクラップしていたんですか?」

SE「当時はとにかく貼ってスクラップブックをいっぱいにしたかったので、資料にならないようなものまで何でも貼ってました(笑)。こういうのは日記と一緒で貼ったら満足なんですけど、なかなか一冊貼りきれないんです。骨董屋を巡って、雑誌用のトリミング指示の入った写真や、フライヤーなんかを集めるんですが、コラージュする元気もなく(笑)、スクラップしてましたね」

PW「その頃作ったスクラップブックは何冊くらいあるんですか?」
SE「30冊くらいはあると思います」

PW「30冊というとかなりの量ですね」

SE「こういうの(スクラップブック的なモノ)は量が重要なんですよ(しみじみ)」

学生時代に作っていたというスクラップブック。その数は30冊にのぼる
PW「今でも作品作りに役立ってますか?」

SE
「もうこの頃のモノは見直したりはしないです。今なら作品に使えそうなものを集めると思うんですが、その頃はとにかくたくさんスクラップブックを作りたかっただけなので、使えないモノが多いというか…。でも今さら使う気もないですね、めんどくさいので(キッパリ)」

PW
「(笑)。サタケさんの作品にはアナログコラージュのものもありますが、ここら辺はやはり大竹氏の影響もあるんでしょうか?」

SE
「あると思います。私、大竹さんに見てもらいたくて某ショップで大竹さんの個展をやっているとき、私、そこで自分で作品を並べたりしたんですよ」

PW「それってスゴイ、アピールですね(笑)。それがデビューへのきっかけに?」

SE「いや、それはきっかけにはなっていないですね。私、卒業後一度実家に戻ったモノで」

PW「京都のご実家ですね。実家でゆっくり制作活動、という感じですか?」

SE「制作活動はしてませんでしたね…。バイトばかりしてました(笑)。でもだんだんそんな生活もイヤになってきて、海外に行くことにしたんです」

PW「なるほど。バイト生活の中でもんもんとしていた創作意欲が、やっと吹き出してきたわけですね?」

SE「いや、(その頃の生活に)イヤになってたんでしょうね。とにかく何でもいいから抜け出したかった(苦笑)」

PW「いろいろな事情があったんですね(しみじみ)。海外はどれくらい行かれたんですか?」

SE「最初は半年くらいの予定で旅に出たんですが、10日で帰ってきました」

PW「短っ!!」

SE「まず中国へ行ったんですが、怖いんですよ。現地の人に食事に誘われて行ったら、高級店でもないのに高額請求されたり、地下道で荷物を盗られそうになったり」

PW「な、なるほど。それは危険な体験でしたね」

SE「そのときはボールペンを出して戦いました。その後もタクシー乗るときはすぐ逃げられるように、ずっと半ドアで乗ってましたね(しみじみ)」

PW「それもまた違った意味で危険ですが(笑)その経験がトラウマになって、旅を断念したんですか?」

SE「本当は中国からドイツまで行く予定だったんですが、日本に帰ってきたんです。その足で東京へ行って、なんの予定はなかったんですが、福生に家を決めました」
PW「それも大胆な展開ですね。旅から戻ってきて、いきなり東京に住んで、GEISAI-1に出展されたわけですか?」

SE「そうですね。その頃はもうコンビでSchnabel Effects をやりはじめた時代です」

PW
「作品はシルクスクリーンですか?」

SE「この時はインスタレーションです。それで藤本やすしさんから賞をいただきました。それでギャラリーロケットで個展をやらせてもらったりして、今に至る感じですね」

PW「紆余曲折がありながらも、決めるところはしっかり決めていらっしゃるんですね。サクセスの秘訣とかあるんですか?」

SE「もう、本当に周りの皆さんにかわいがってもらってお世話になったおかげです」

2003年の個展「MARRIAGE BLUE」(LABLINE. TV)出展作品。雑誌の表紙や広告をサンプリングし水彩で描いている。
 

アナログコラージュ作品。アブストラクトながらもポップな感覚が織り交ぜられている。 And A 2005A/W ビジュアルアートワーク 2005年の個展「BLENBY/TRENDY」(gallery ROCKET)出展作。コラージュとイラストがミックスされた作風からは、今に通じるセンスが見られる。この頃のウサギにも注目!

サタケさんの知られざる過去、いかがだったでしょうか?
GEISAI-1でのデビュー、そして2005年のベストデビュタント賞受賞、そして現在のインテリア系のお仕事など、アーティスト街道をとんとん拍子で進まれているサタケさんですが、実はこんな経験もされてたんですね。それではサタケさんの人柄を知っていただいたところで、次回はその制作現場を詳しくご紹介しましょう。サタケさんによるシルクスクリーンの実演もありますので、どうぞお楽しみに!

 
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