Column
Photoshop world Reportage
     
  Joe Satake [Schnabel Effects]  
vol.3 [スゴイです、サタケさん!]
 
 
【Schnabel Effects のアトリエにて、シルクスクリーンの実演を見学。「スゴイです、サタケさん!」】

Schnabel Effects×Photoshopworld でサタケさんに制作していただいたのは、シルクスクリーンの〈ゾンビ〉とオリジナルキャラクター“ウサギ” が登場する〈ポストカード〉。今回は、サタケさんがどんなところからインスピレーションを受け、これらの作品を作られたのか、その制作過程をお聞きしてみました。
Photoshopworld Staff(以下、PW)「今回、ギョウザ(=封筒)のアートワークのテーマを“ゾンビ” でお願いさせていただいたんですが、“ゾンビ”、いかがでしたか?」

サタケさん(以下、SE)「ゾンビ、ステキです(笑顔)」
PW「ホラーもの、実は得意だったりするんですか?」

SE
「いえいえ、ホラーは全然。だって私、(怖いから)電気消して寝ないですから」

PW
「そうなんですね。では素材はどのようなところから集められたんですか?」

SE「実は昔、ゾンビだけを集めた洋書を持っていたんですが、どっかいっちゃったみたいで…。もう一度取り寄せようとしたんですけど、手に入らなかったんです。ここら辺が今回参考にした資料ですね」

PW「ホラーは苦手でも、このあたりはお持ちになってたんですか?」

SE
「そうですね。こういう基本的なものはだいたい持っています。こっちのゴス系の写真集も参考にしたんです」

PW
「確かに、雰囲気ぴったりですね。それにしても蔵書の種類が豊富ですね。サタケさんは昔から雑誌や紙モノの資料を集めていらっしゃいますが、これらはどういう基準で選ばれているんでしょうか?」

PW のための『ゾンビ』のアートワーク。


今回のゾンビ制作にあたってサタケさんが集められた資料。初代ゾンビからゴス系の写真集まであります。

SE「長年やっていると、だいたいどこ(どんな種類の本)にどんなものが載っているかは分かるんですけど、よく行くお店に並ぶ新書はとりあえず買うようにしてますよ(笑)。あと古いモノなんかは旅先で買ったりもします。あ、私、ブックオフでは絶対に買わないです。だって自分の本が100 円で売られてたりしたら悲しいじゃないですか!」

PW
「う〜む、そこにはこだわりがあるんですね。ではこれらの資料がどのように作品になって
いくのか、シルクスクリーンができるまでの過程をお聞きしてもよろしいですか?」

SE「いいですよ(快諾)。じゃあちょっとやってみましょうか?」
なんとサタケさんのご厚意で、Photoshop での原稿作りからキャンバスに刷るまで、シルクスクリーンの制作過程を順を追って実演してくださることに! シルクスクリーン初体験のスタッフはもう興味津々。Photoshopworld でしか見ることのできない「Schnabel Effects のシルクスクリーン講座」、急遽開講です。
素材はとにかくいっぱい取り込んで、風合いはハーフトーンスクリーンの線数で調整。
原稿はOHP 用紙に普通紙の設定で印刷すべし!
SE「まずは選んだ素材をPhotoshop に取り込むんですが、とにかく素材はいっぱい取り込んでおきます。これがポイントです」

PW「レイアウトを決めるときに、素材がたくさんあった方がいいわけですね?」

SE「昔はパーツひとつひとつに原稿を作っていたんですが、Photoshop なら原稿をまとめることができるので、初心者の方は素材がいっぱいあった方がやりやすいと思います。でも原稿をまとめて版をひとつにしてしまうと、絵がグラフィック的になってしまい、シルクの“味” がでないこともあるので、私は原稿をいくつかに分けて作るようにしています」
PW「なるほど」

SE「取り込んだ素材のレイアウトを決めながら、これをまずモノクロ2 階調のグレースケールにします。そしてハーフトーンスクリーンをかけるんですがこの“線数” がポイントですね。新聞だとだいたい60、オフセットで150 くらいの線数だと思うんですが、シルクスクリーンの場合はだいたい23〜25 にします。パーツごとに線数を変えることで、いい風合いのモアレが出るんです」


ダブルモニターを駆使して作業するサタケさん

PW「刷り上がりを見越して、素材を細かく加工されるんですか?」

SE「シルクスクリーンで刷ると細かいジャギリなんかはシミになって、それも“味” になりますから、加工はザックリでも大丈夫ですよ(笑)。最後にできあがったパーツをOHP 用紙に普通紙の設定で印刷し、原稿を作ります。これもポイントかな。この設定の方が透明にならないのでいいんですよね」

原稿ができあがったら、次は版作りへ。乳剤を塗ったシルクの版に原稿を合わせ紫外線をあてると、光の当たっている部分が固まり、原稿の白黒部分が反転した状態で焼き付けられます。これを水洗いすれば版のできあがりですが、時間もかかるし かなり大変な作業。サタケさんの作品は大きいモノが多いので、普段はシルク版屋さんに頼むことが多いとのことですが、PW のため、今回はこの版作り まで一から実演していただきました。さて、次はいよいよ“刷り” の実演に!

 
< Back  1|  Next>



このページをブックマーク