SE「まず私はキャンバスを地べたに置いて刷るんですが、これはAndy Warhol がやっていたのと同じスタイルです。このほうが粗い感じの、“アジアジ(=味味)” な刷りになります」 PW「たしか〈Schnabel Effects〉という名前は、映画「バスキア」の監督をした、画家であり、ウォーホールの親友であるジュリアン・シュナーベルからとられているんですよね?」 SE「ウォーホール、好きなんですよ。(サタケさんのお部屋にはウォーホール人形が飾ってあります)。で、まず一版目ですが、今回は下地になるような抽象的な構図の版を、銀色で刷ります」 PW「なるほど、メインの版とケンカしないように、抽象的な構図のモノを、文様的に下地にひくわけですか?」 SE「そうですね、だから一版目はカンで位置を合わせる感じで刷ってしまいます」 PW「インクは何色くらい使われるんでしょうか?」 SE「だいたい2〜3 色です。今回はこの銀色と、光沢のあるブラックとマットなブラックの3色を使います。二版目からは原稿をキャンバスに載せて、ちゃんと位置を確認してから刷りはじめますよ」 PW「二版目は先ほどPhotoshop で作ったメインの版ですね」 SE「これはとにかく頑張って粗く刷ります(笑)。マスキングして、きちんと出るところと出ないところを調整したりもしますね。あと、刷りのポイントはインクの固さ。柔らかすぎるとベタッと刷りすぎてしまうので、ちょうどいい固さのインクが、良いかすれ具合を出すポイントなんです(インクを垂らし、手早く刷るサタケさん)」 PW「程よいかすれ具合を出すためには、かなりテクニックが必要ということですか?」 SE「(シルクスクリーンは)それが命みたいなところがありますから(笑)。だからアシスタントを使って制作するということができないんです。今回のゾンビは特に要素も多いし、サイズも小さいので、相当なテクニックが必要ですね」 PW「サタケさんは、ずっとこの風合いを生かすような質感を追求されてきたわけですか?」 SE「いや、昔は8 版くらい使って、とにかく正確に、むらなく、きちんと刷り上げるテクニックを追求していた時期もあります。だから私、刷るのは得意なんですよ(笑)。でも、例えばシルクスクリーンの良さって、リクエストに合わせて写真を入れたりできるんですけれど、写真をそのまま大きくすると、ビジュアルが強くなりすぎてしまうんです。私は今、特に大きい作品を手掛けることも多いですし、むらなく、きちんと、より風合いを活かす感じがね、必要なんじゃないでしょうか(笑)」