【Photoshop for Photograph】
写真加工テクニック編 撮影テクニック編

撮影テクニック編
Photoshopで出来る簡単なパノラマ 「後編 1」
稲垣 英徳
前編、中編とパノラマ作成に主に用いられる手法、テクニックなどを簡単に触れてきましたが、後編ではいよいよ日本国内のカメラマンの方達には人気のある魚眼レンズを用いた撮影法の説明に入ります。

魚眼レンズの簡単な歴史については中編で、ミラー式の撮影法について触れた際に述べました。後編の冒頭では、35mmレンズの時代の主流であった「円周魚眼レンズ」と、現在の主流である「対角魚眼レンズ」についてまずは触れていきましょう。
【写真1】
商用撮影で一般に知られる魚眼レンズの用法は、この様な犬の鼻の写真の様な使い方でしょう。

円周魚眼レンズとは

円周魚眼レンズとは、魚眼レンズの特性である対象物を球面として捉えた物をそのまま綺麗にフィルムやセンサー面に収まるように投影する事によって、円形の像を得る物です。一般的には、円に外接する形になる物が「円周魚眼レンズ」と言われています。
【写真2】
180度の画角を持つ魚眼レンズで、大体85-88度+程度の角度で見上げた物です。展開すればちょっとしたパノラマになります。
現在でこそ、円に内接する形である「対角魚眼レンズ」の方が、魚眼レンズでは主流のようになっていますが、「円周魚眼レンズ」は、魚眼レンズが開発された当初の目的に未だ忠実なレンズと言えます。そもそも魚眼レンズは、海軍の艦船の洋上気象観測において、全天パノラマ写真を撮る目的で開発されました。そのため、主に軍隊や気象観測に関する公的機関で用いられており、民間でも学術機関などで用いられてきました。
このため、「円周魚眼レンズ」による全天撮影の画像をパノラマ用に処理するための優れたソフトは、天体観測用の物が多いです。これは、Photoshopに付属するフィルターは、綺麗な天頂方向に垂直に向けた撮影を展開する点では安易であるも、ある一定以上の角度を持たせた円周魚眼の全天撮影パノラマの展開には、不向きであるためです。
【写真3】
バラ園のワンショットから。全天撮影では太陽の位置はかなりトリッキーな問題です。
現在市場にある「円周魚眼レンズ」の多くは、180度程度の画角を持ちます。但し、安価な魚眼コンバージョンレンズやLomoのおもちゃカメラなどの場合は170度程度の画角の物もあります。また、魚眼コンバージョンレンズの中には、RAYNOXのブランド名で知られる吉田産業のレンズの様に185度という画角を持つ物もあります。これらも総じて魚眼レンズと呼ばれる物です。

魚眼レンズは、レンズの設計、作りにより描写、投影される像等、大きく左右されますので、ここで紹介するPhotoshop Tipsはあくまでも一般論であると考えて頂ければ良いでしょう。お持ちのレンズの光学上の特性は、メーカーのサイト等での仕様書や、自ら格子状の物を撮影する事によって確認して頂ければと思います。

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  稲垣 英徳   2007.07.20