【Photoshop for Photograph】
写真加工テクニック編 撮影テクニック編

撮影テクニック編
Photoshopで出来る簡単なパノラマ 「後編 1」
稲垣 英徳
円周魚眼レンズの撮影:全天撮影の場合
【写真11】
全天撮影でパノラマを作りたい場合、ブラケット撮影を行うと後の処理が楽になります。
「円周魚眼レンズ」による全天撮影の場合、展開方法は、中編で紹介した方法に准じたものになります。 全天撮影に限って言えば、魚眼レンズは対象物を球面に捉えるものなので、Polar Coordinate フィルターを使用する事によって比較的簡単に展開が出来ます。
「円周魚眼レンズ」で撮影した物の展開方法については、次回に詳しく述べます。まずは、撮影の際の留意点に触れていきましょう。
撮影時の留意点
【写真12】
撮影は、なるべく低くて垂直な位置で行ないましょう。
日中の全天撮影の留意点は、なるべく垂直な位置で撮影しなければならない点です。
これは基本的なことですが、太陽の位置によってはその限りではありません。
太陽が天頂にある状態では、天頂部位が完全に白飛びを起こします。状況によっては、鏡筒内の乱反射が発生してまともな像を得られない事もありますので、どのように対応するかが重要です。

また、ある一定の高さを超えると難しくなりますが、撮影位置が低ければ低い程、撮影視野は広がります。 人混みではしゃがんだり、地面に仰向けになって撮影する事は困難ですが、カメラマンが写り込まない様にしながら地面に座って撮影した場合、地上60cm〜80cm程度まで下がれれば良いです。

なお、日中の撮影では絞りをある程度絞った方が賢明でしょう。その特性上、大抵の魚眼レンズは、絞り開放でもかなりの被写界深度を得られます。展開時にシャープさがかなり犠牲になりますから、固めに撮っておいても差し障りはありません。
最も、展開写真の例に使っている物の様に、筆者が絞り開放状態(f/3.5)で撮影しても、画面上での使用では、差し障りが無い程度になりますので、ケースバイケースと言った所です。

但し、全天撮影は太陽等の光源が絵の中に入ってしまうと、どうしても逆光撮影となりますから、魚眼レンズはその特性上、所謂CA問題(色収差問題)が顕著になり易いという問題があります。
多くの場合、Photoshopでは、Camera RAWで補正出来るレベルです。しかし状況によっては、かなり絞らないと色収差問題が修正できない事もあるので、ある程度習慣的に絞る事も必要でしょう。
写真 1

【写真13】
PhotoshopのPolar Coordinateで単純に展開すると、この様になります。

また、現在の多くのDSLRで唯一「円周魚眼レンズ」の効果を得られる方法である魚眼コンバージョンレンズを使用する場合は、かなりコンバージョンレンズを載せているレンズを絞る必要性が発生しますが、その辺りはケースバイケースとなります。
高性能の円周魚眼コンバージョンレンズの様にほとんど絞る必要性が無い物(+1程度絞れば良い物)から、数段程度絞ってもなお甘い描写と色収差が発生する物まであります。お手持ちのコンバージョンレンズの性能を見極める為に、色々な絞り状態で試してみるとよいでしょう。

また、近年人気のあるロシア製魚眼レンズの様に、光学性能に難点があるレンズの場合は、通常の安いレンズの扱いと同じくF8+程度まで絞る事で、ある程度の展開等に耐える絵が得られる様になります。しかし、この辺りは、コピー等による描写のバラツキがあまりにも激しいので、最適な絞り値などの仔細はカメラマン各自の判断で行って頂く事になると思います。

では、展開方法について次の回で詳しく述べていきたいと思います。
※次回、次々回は特別版、夏特集として「花火撮影の基本 前編・後編」をお送りします。Photoshopで出来る簡単なパノラマ「後編2」はその後の掲載となります。
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  稲垣 英徳   2007.07.20