【Photoshop for Photograph】
写真加工テクニック編 撮影テクニック編

撮影テクニック編
人物撮影:女性モデルを用いた人物撮影2(入門)
稲垣 英徳

インハウス撮影への欲求

写真2 【写真2】
2/3 CCDセンサー搭載のOlympus E-20Nカメラによる撮影。今となっては、非常に旧式なデジタルカメラなのですが、モデルとビデオ/テレビカメラなどとの相性チェックの際に筆者は使います。それ以外では、流石に何世代も前のカメラなので、これと言って使い道が無いのですが、デジタル機材の陳腐化のスピードを良く思い出させてくれるカメラです。世代毎にある程度の機材投資が必要なプロのカメラマンの継続投資コストも、現在では相当なものなのです。
既に述べましたが、モデルを用いた撮影では、クライエント/デザイナーが提示する予算と、実際にカメラマンが提示するコストが、大幅にズレてしまう事が多くあります。これは、多くのデザイナーが人物撮影をそこまで頻繁に手がけない事も勿論ですが、自分で撮影すれば遥かに安いという意識、そして、現在では多くのモデルさんのポーズなどがストック写真などで購入出来る事から、ストック写真のライセンス値段を目安に自前撮影を考えるデザイナーが多い事も、このギャップを大きくする一因となっています。
ストック写真の最大画質での、無制限、エクスクルーシブの権利などの値段をベースに一枚撮るコストを計算するのならば、あながちその計算方法も間違ってはいませんが、大抵の勘違いされている方は、低価格、低画質の限定的なライセンス値段をベースに計算されたりもしますので、大変なギャップが発生するのです。

筆者にはその様な経験がありませんが、以前コンベンションでお会いしたカメラマンが、Web用の300〜400px程度の大きさで、モデルがクライエントの店で販売する服を着た20枚程度の写真を納品すれば良いプロジェクトで、良くある証明写真の撮影よりも一枚当たりで安い値段を予算として提示されて(まあ、今日は一枚$2程度の低画質ストック写真もありますが)、愕然としたという話もあるくらいです。もちろんWebSiteデザインの価格競争で、かなり非現実的な値段での受注競争がドットコムバブルの頃に長く続いた事も、この様なビックリする予算提示が行われる下地にあるとも言えます。

古くは近代写真の黎明期から言われていた『カメラなんて、シャッターボタンを押すだけ』という一部の無理解がいまも非常に根強いことを実感させられます。筆者なども、たまにデザイナーの卵が対象のWorkshopでレクチャーを行う事がありますが、その際に、デジタルの時代になったので写真を撮るのは実質タダになったのだと思っている方に度々当たって、多いに驚いたものです。現実はデジタル化された今でも、上位機種などを仕事で使用しているプロカメラマンのシャッターを一枚切る為のコストは、結構なものなのです。

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  稲垣 英徳   2007.11.30

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