【Photoshop for Photograph】
写真加工テクニック編 撮影テクニック編

撮影テクニック編
人物撮影:女性モデルを用いた人物撮影2(入門)
稲垣 英徳

インハウス撮影への欲求

写真3 【写真3】
予算があれば、ある程度個性的に仕上げたいものですが、通常の撮影ではそうもいきません。
もちろんグラフィックデザイナーや代理店の方だけではなく、筆者が以前コンサルタントを行った若手の衣料デザイナーなども、自身の新規のブランドを立ち上げる下準備の相談の際、ある程度の水準の写真を作る為に必要なコストを説明した時に、そのコストの多さに多いに驚かれていたので、クライエントの考えているコストと実際の撮影コストとの乖離現象というのは、かなり深刻なのかも知れません。

相談に来られた衣料品デザイナー本人の理解が、大手の衣料ブランドの通販カタログの様なものなら、入門デジタル一眼カメラでもあれば誰でも撮れるだろうと言うものでしたから、『その水準のカタログはそんな機材では撮られておらず、値段の桁が二つ程違う機材を使い、そしてモデルのコストも相当なもので、思われているものとは全く違う金額と時間をかけて作られている』のだと、説明する事になったのです。

この案件は、結局この衣料デザイナーが自分で行える、入門〜中堅デジタルカメラ+多少マトモなレンズで撮れる設定+モデルのアレンジを説明して、コンサルタントとしてはそれでおしまいになったのですが、業界人と言える人にでさえある、この様なコストの知識の乖離は、非常に勉強になりました。

さらにお絵描きの世界と縁の無い一般のクライエントであれば、そのギャップはさらに大きくなります。色々なイベントでお会いしたデザイナーが『写真はサービスで出来ませんか?』と中小事業者のクライエントに頻繁に訊かれたと言う話をしてくれるくらいですから、かなりその辺りの意識の温度差があるのです。逆に言うと、これが多くのデザイナーさんが自らカメラをとってプロジェクトの撮影を行う事になった下地でもあるのでしょう。カメラマンの方達も、クライエントに対する各種の啓蒙活動をお絵描きの世界の一員として、より行うべきなのでしょう。

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  稲垣 英徳   2007.11.30

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