【Photoshop for Photograph】
写真加工テクニック編 撮影テクニック編

撮影テクニック編
人物撮影:女性モデルを用いた人物撮影2(入門)
稲垣 英徳

カメラマンとの撮影の違い

写真4 【写真4】
低予算の撮影では、個性を引き出す撮り方よりも、安直に、無難に仕上げる方に労力を割くという欠点があります。また時間配分も通常の一日の撮影から、半日、又は2時間程度になったりと随分短くなりがちです。なお、このtipsの原稿の為の最初のシリーズの撮影は、非常に短い時間で行わなければならないことをシミュレートして行いました。
多くのデザイン事務所にとって、プロのカメラマンを雇わずにデザイナー自ら人物撮影することになるケースとは、小口クライエントからのWeb Siteデザインプロジェクトが最も多いでしょう。他にも予算的に厳しく適当なストック写真が無い場合は、デザイナー自ら撮影するこになり、モデルを使った撮影でも似た様な発想で試される方が多いのでしょう。

上記の写真の説明の通り、基本的に低予算、短時間の撮影では、当たり障り無くというのが仕事上最優先されます。モデルの個性を引き出す為に時間が割けませんので、その分写真としては弱いものとなります。モデルの個性を引き出しながら、上手く商品としての衣服や小物、他の製品の価値を高めるのが最良の広告写真とするならば、低予算のものは、良くある雰囲気でというのがキーワードになる事が多くなります。

個性を引き出す手間とカメラマンの能力よりも、この辺りの無難に仕上げる為の細かい技術的な違いが、一般的なプロとアマの差として周知されているわけです。そこで、プロとアマチェアの違いについて、ここで先ず軽く述べていきましょう。

先ず、一般的に認知されている最大の違いとして、カメラ機材の違いが挙げられます。 少なくとも筆者の知る限り、多くのデザインスタジオの機材は、所謂入門デジタル一眼機種から中堅機で編成されており、特にキットズームレンズなどレンズ周りの装備は比較的貧弱といえます。

一方それなりの規模の企業クライエントやデザイン事務所とのやり取りのあるプロのカメラマンは、幅があるので一概には言えませんが、活動ジャンルに合ったそれ相応の周辺機材なども合わせて揃えています。ですので機材の単純な値段差は、大体デザイン事務所などに常備されている物と一桁程度から、上位レベルになって来ると、二桁以上違うとだけ述べさせて頂ければ十分でしょう。

また、アマチェアの方はなかなか目がいきませんが、単純なレンズや本体といったカメラ機材の値段だけでは無く、照明、レフ板、背景やその他各種の周辺機材の違いなど、パッと見てすぐには判らないところにも多大なお金がかけられているのです。カメラマンにもよりますが、使用しているカメラ本体と同額、またはそれの倍以上に値するお金を周辺の細かい物にかけているとも言われ、これが多くのアマの方がカメラやレンズだけを真似ても、プロの写真を撮る事がなかなか出来ない、感性部分とは別の、物理的な種明かしでもあります。

また一般的に、デザイナーが自らカメラを持って撮影する場合は、モデルも依頼を受けたクライエントのお店の従業員の方だったり、もう少し予算があれば地元のモデル/タレント事務所からのコンパニオンモデルを呼んぶことが多くなります。ご自分でちょっとした広告や、ホームページを作成出来る事業主の方なども似た様なアレンジでしょう。カメラマンの人件費が無いのでその分安くなる理屈ですが、そこを安くしても問題が無いのであれば、次でより具体的なところに触れて行きます。

通常は、自前撮影の場合は、機材も事務所にある慣れた物が原則ですし、コンパクト機で仕事を行ってしまう方も多くいらっしゃいます。

現在は多くの方が、デジタル一眼レフカメラやコンパクト機の上位機種を所有されてますし、メーカースペックの理屈上では、それらで撮影されたものはA3程度までの引き延ばし(世の中の撮影の仕事の9割以上です)は可能になります。一見、カメラマンの方は要らない風潮になるのも理解出来ない事もありませんね。

またモデルさんも、自前撮影では所謂『ロハ』だったりするので足代も軽微で済み、モデルになられる方の大半が身内である為に、肖像権などがうやむやになって、その辺りの権利関係の出費も無いに等しいのです。昼食や夕食もクライエントの所でなんとか出来たりするので、それでなくても比較的安上がりに出来やすいのです。

さらにWeb Site用の撮影などでは、最終出力は横800pxを2007年時点では超える事は稀ですから、パッと見てそこまでの質を要求されません。一般的な上位コンパクト機や入門デジタル一眼レフの写真を大体1/4程度に縮小して出すので、粗も目立ちにくく、それでも問題ないという考えもあるのです。

細かい所で差をつけるのがプロの技だとするのなら、細かい所が目立たないWeb向けの写真においてカメラマンを用いる、その最大の違いは何になるでしょうか?

その辺りがどの様に発生するのかを、次回から具体的に述べて行きます。


撮影協力 Model: shima Make: shima Hair: Azu Style: Karen Iseki

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  稲垣 英徳   2007.11.30

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