フォトショップユーザを対象にしたコミュニティ Photoshop world

 
Site Search

 
 
 
 
Proudly Partnered withAdobeWACOMMASSMEDIAN
 
Tips
 
【Photoshop for Print】
基本編 印刷出力基礎知識編

印刷出力基礎知識編
USM(Un Sharp Masking)とは
瀬飛寅男(せっぴとらお)
今回はUSM(Un Sharp Masking)について解説したみたい。といってもこの記事はWebなのでUSM効果をビジュアルで説明するのは不可能だ。なぜなら本来USMを必要としているのは印刷だからだ。印刷の濃度再現レンジは短く、そのためコントラスト不足をUSMで補っているというわけだ。ましてや被印刷物が紙なので滲んだり、見当ズレでぼけてしまうのは避けられない現象なのだ。そんなことも踏まえて印刷ではUSMをかけるのが常識となっている。これはデジタル以前、完全な写真的なアナログ手法時代から行われており、その当時開発された手法が、ボケ画像の写真マスクを使ってシャープな画像を作っていたのでUSM(Un Sharp Masking)と呼ばれているくらいだから、USMとはもともとアナログ的手法なのである。「シャープ」にするのになぜ「アンシャープマスク?」とは、初心者がぶち当たる最初の壁だが、こんな背景があるわけだ。したがって、いくら安モニターでWeb画像を見ているからといっても、紙とは異なり自分から光を出しているモニターの場合のUSMはあくまで補助的な手段で十分であり、むしろかけ過ぎには注意しましょうということなのだ。しかしUSMはレタッチに関した分野で一番科学的に説明がつく分野でもある。その科学的なUSMの「わかっているようでわかっていなかった部分」について解説してみたいと思っている。
さて復習だ。 よく「USM」と「シャープ(ネス)」「微分信号」などをごちゃ混ぜにしているが、どれも濃度変化部分をより黒くより白くするというマッハバンド効果を利用して先鋭度を上げていることに変わりはない。印象派のように黒線を引いてくっきり見せているわけだが、そのエッジをどうやって作っているか?によって効果が異なってくる。高校の数学(理系だけかな?)でやったことだが、写真原稿の濃度変化を関数としてみれば、その関数を二回微分すれば上下の角が得られる。これをメイン信号である関数に加えてやればシャープネス効果になるわけだ。これを一般的には「シャープフィルタ」と呼んでいる。対してUSMは前述したように純光学的にボケ信号を作り出し、メイン信号との差分信号を求めることで角(エッジ)信号を作り出していた時代の名残であるから、効果はアナログ的な味を感じさせるものになっている。もちろん現在は光学的な効果をデジタル的にシミュレーションしてUSM効果をかけているのだ。

したがってPhotoshopで言っている「USM」と「シャープ」は角の形状が根本的に異なっている。USMは光学的なアパーチャーの形状や大きさに依存するが、電気的に作ったエッジ効果であるピーキングなどよりもなめらかなエッジ特性を有している。Photoshopの場合、USM効果を決めるパラメーターは「USM(適応)量」と「半径」「しきい値」の三つだ。「半径」は理解しやすいと思うが、厄介なのが「適応量」と「しきい値」だ。もっともアナログ時代は信号のナマリ(劣化)が問題になりメイン信号自体の精度が失われ本来垂直のはずが傾いているものもあったが、デジタル画像信号の場合はナマッテいるわけではないがピクセル一個分必ず傾いていることは忘れないで欲しい。高画素の場合は一画素分の傾きなど問題にならないが、Web画像のように画素が粗い場合にはアナログ時代のナマッタUSM信号や微分信号によるエッジ効果に近くなるということだ。

量の定義を確認しておく。PhotoshopのUSM量で100%というのは、ボケ信号の濃度差がメイン信号と同じになる場合を基準にしている。角の高さでは大雑把に言えば濃度差の約半分の角が白(ライト)側と黒(シャドー)側が付くことになる。もちろんこの上下分(黒白分)の二つの角を足せば元の濃度差と同じになるわけだ。また200%は100%の2倍となる理屈だ。しきい値はUSM効果が濃度差の大小でON/OFFできるようにしているもので、しきい値に設定する量が濃度差ということになる。8bitなので0から255ということなので、0なら全ての濃度変化にUSM効果がかかるし、255なら全くかからないということだ。

< Back  1|  Next >



  瀬飛寅男
(せっぴとらお)
  2007.12.28
 
 
 
 
Copyright (c) NAPPJ. All Rights Reserved.
Adobe、Adobeロゴ及びPhotoshopはAdobe Systems Incorporated(アドビシステムズ社)の米国並びにその他の国における登録商標または商標です。