【Photoshop for Photograph】
写真加工テクニック編 撮影テクニック編
撮影テクニック編
ネコの撮影テクニック「前編」
〜レンズを猫に上手く向けましょう〜

稲垣 英徳

はじめに
猫が愛玩動物として飼われた歴史は長く、 ネズミを獲ると言う実用以外の用途、つまり愛玩用の用途として飼われたのは、実はネズミ等を獲る益獣としての猫の歴史に並ぶ程、若しくは、益獣としての実益に基づく関係を超える程古く、一説には9500年以上前のキプロス島遺跡からも愛玩動物として飼われていた痕跡らしき物が在ったとされています。

この説を受け入れるので在れば、猫は、元々可愛さを前面に押し出して人間に接触して来た生き物で在ると言う事も出来ます。
生物学、そして心理学的な事を言えば、猫の顔は全体的に目が大きく、目と顔の比率が人間の幼児、特に乳児が持つ身体のバランスに似通って居る為に、人間の子供、特に乳児に対する保護本能が現れ易く、その為に猫が可愛いと言う、人間側の認識が発生する事が知られています。
img01 【写真 1】
子猫の顔。典型的なお目々で見つめられると、可愛がりたくなってしまう顔ですが、この様に目が大きく、人間の保護本能をかき立てる子が多いのです。
これが、男性と女性が居た場合、女性の方が猫に好意的に反応する理由の一つでも在りますが、猫を撮影をする際に可愛く撮るコツが、子供を可愛く撮る撮影等の技術に近くなり理由でも在ります。可愛く撮りたかったら、黒目を大きく、格好をつけさせたかったら、目を細めた状態で撮る訳ですが、今回は、より基本的な、「いかに猫に近づいて写真を撮らせて貰うか」と言う所から入りたいと思います。
動物撮影は避けたいもの
この写真は、良く慣らしている飼い主が自分で撮る時や、カメラマンと訓練された猫の撮影の際に陥る最大のトラップである寛いでしまった猫に依る、『あられも無いポーズ』ですが、これ位は可愛い物です。撮影用に訓練された猫の場合は、比較的短時間にセット上の他の事に興味を向かせられますので、対応しやすいのです。慣れない飼い主がちょっと撮ろうとする場合は、誘導に失敗しやすいので、簡単には行きません。

クリエイティブの世界の常識に、困った時は動物や子供を使えと言う物が在ります。同時に、困りたく無かったら、動物とか子供の類いは使うなと言う物も在りますが、大抵の場合、取りあえず企画を出さなければならない為の必然からか、動物を使う方を選択するクリエイターの人達は、非常に多いのです。
img02 【写真 2】
『あられも無いポーズ』

そして、当然の事ながら、愛玩動物としての歴史が最も長いと言っても過言では無い、猫を採用するうっかり者のクリエイターも大変多く、 その為に、実際に今迄殆ど面識も無かった猫をスタジオの中、何時間も追い回さなければならない哀れなカメラマンの数は意外と多いのです。

写真3は、写真2であられもないポーズを取っている猫の同一セッションでのOKのポーズです。モデル慣れしている子ですので、決める時は決めてくれますが、それでも簡単では無いのです。

赤ん坊を撮るコツに通じると言える猫ですが、赤ん坊に比べて五月蝿く無いだけで、その代わり俊敏な為に大変撮影現場では苦労する対象の一つと恐れられている理由で在ります。今回は、そんな、幼児を撮る様なコツに近い、インドアでの猫の撮り方について触れたいと思います。
05 【写真 2】
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  稲垣 英徳   2007.04.28