【Photoshop for Photograph】
写真加工テクニック編 撮影テクニック編
撮影テクニック編
ネコの撮影テクニック「前編」
〜レンズを猫に上手く向けましょう〜

稲垣 英徳

猫は難しい相手?
予算等切迫して居るプロジェクトで、猫の撮影を安直に請け負うデザイナーは意外と多いですが、実際の撮影に入って、自分の飼い猫で在ってもカメラから逃げられてしまい、その為か、土壇場で何とか撮って欲しいと、動物撮りが出来るカメラマンに泣きついて来る方も結構居るものです。経験の浅い、猫を飼っているデザイナーの陥るトラップの様な物ですが、これは、猫と言う物を本質で全く理解して居ない所から来る失敗です。猫を綺麗に、クライエントから報酬を貰えるレベルで撮る為に必要な理解が欠けているのに、多少の腕に覚えが在って挑むので失敗したと言えるでしょう。

猫の撮り方(前編)では、色々な基本的な理解を述べて、失敗の少ない撮影を行える為の知識を簡単に述べて行きたいと思います。 先ずは、最も難しいとされる間合いの撮り方、そしてレンズを向けさせてもらうと言う事から始めましょう。
img04 【写真 4】
綺麗な猫は意外と多いですが、カメラマンと相性の良い子ばかりでは在りません。
実は、相性の悪い子の方が圧倒的に多いのです。
猫の目は繊細で特殊
インドアで綺麗に黒目を撮るのは実は難しいのです。ましてこの写真の様な目と鼻の先から、所謂、ウルウルした目を撮るのは大変です。予算が無い場合は、撮る事は少ないでしょう。

猫の目は人間と違い、色彩自体は、青色と緑色を認識しますが、赤色の認識には劣ります。これは、言い換えると、多くの赤色は、白、又は灰色の明るさとして認識して居る事となります。そして、赤領域の光を明るさとして認識して居る為に、人間にとっては見えない、赤外線領域の光もある程度、見える様になっていますので、これがかなりの問題になります。

また、一部紫外線も可視できる為、人間に比べると、遥かに広い幅の光の周波数が何かしらの形で認識されて居る事になります。
img05 【写真 5】

一般的に、猫の撮影をインドア等で行う場合は、デジタルカメラや猫の目の赤外線に対する反応を上手く使って、瞳孔の開き位を調整した撮影を行いますので、これらの知識は、知って於くと、後々便利になります。これらのテクニックについては、上級編で述べたいと思います。

この写真は、撮影時期は違いますが、写真5と同じ猫です。瞳孔の開き方で印象が変わりますね。こちらは明るく照明を焚いたセットで撮られています。 予算に易しい、こちらの目の状態の方が一般的です。広告、雑誌や、キャットフード等の物も、こちらの目の状態を多く使います。
img06 【写真 6】
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  稲垣 英徳   2007.04.28