【Photoshop for Photograph】
写真加工テクニック編 撮影テクニック編

撮影テクニック編
打ち上げ花火の撮り方 基本「前編」
稲垣 英徳
以下はちょっと踏み込んで撮りたいPhotoshop Worldの読者の皆様へのTipsです。

花火の歴史と国における違い
【写真2】
北米の花火は音と光の方に重点を置いてますので、日本とは随分違った物となります。
花火は12世紀に発明されて以来、長らく夏のイベントの華として定着してきたので、花火を撮ろうと言う試みは昔からありました。
しかしながら昔の花火、特に19世紀迄の日本の物は非常に暗く、もみ殻、おが屑、木炭などを用いて火の粉を発生させた事から、現代の明るい夜空では見るのも困難だったと言われます。
【写真3】
典型的な西洋花火の形状の一つです。フレアから発達したルーツが判りますね。現在では中国製も多く、冷戦後に、およそ8割以上が中国製になったと言われます。
欧州に於いては、迫撃砲などの曲射兵器研究の一環として、王の命令で兵器厰に花火の部門を設置するなどして発展してきました。金属精錬加工が盛んであった事から、各種金属を用いた比較的鮮やかな発色など、日本に比べると比較的明るい花火が産業革命以前から登場していました。それでも現代の物に比べると、まだまだ暗い物が多かったのです。

19世紀前半では、英国軍がコングリーヴ・ロケットなどを主要な攻城・心理兵器などに用い、その攻城シーンは米国の国家の中でも歌われる様になった程インパクトの有ったものでした。そして国家にも歌われている様に、ロケット/花火の明かりと言えば赤と言う刷り込みがあったのです。

現在の様な鮮やかな多色発色の花火になったのは、ごく最近、第二次世界大戦後です。マグネシウムやアルミニウム粉末の様な明るい可燃現象を起こす金属の入手が容易になり、さらに冷戦後期にタングステン、バリウム、セシウム化合物などが民生用に入手出来る様になりました。
【写真4】
こちらは日本でも登場する様になったタイプの洋製物です。西洋の円筒状の花火弾の特徴を良く出しています。
これらの多くは、元々ロケット燃料や兵器の弾頭として開発されたのですが、冷戦終結後にこれらの先端素材が民生用に供された事から、近年の花火は急激に光量が増したのです。特に、先端兵器産業の発達した欧米国家では希少元素金属粉末の入手が容易であり、かなり光量のある花火の傾向にあります。一見肉眼では同じ様な見かけの花火でも、実際の明るさや色は随分違うものがあります。

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  稲垣 英徳   2007.08.01