【Photoshop for Photograph】
写真加工テクニック編 撮影テクニック編

撮影テクニック編
打ち上げ花火の撮り方 基本「前編」
稲垣 英徳
デジタル化前のフィルム黄金時代における撮影
【写真7】
絞りf16、シャッタースピード 8.0秒。
WBはdaylight及び、赤(マジェンタ)を強調して処理。
さて、1970-80年代はフィルム撮影の世界において革新が起きました。

まず、民生用高感度フィルムの登場です。
その他にもC-41/CN-16処理(現在の一般的なネガの現像方法)やE-6処理(現在のポジフィルムの現像方法)の登場も特記されるべき事でしょう。
70年代半ばから10年間は、あまりタングステンフィルムを用いずデーライトフィルム主体で撮られており、かなり色彩を強調したものが定番でした。

1985年頃は花火打ち上げ技術の革新から急激に花火大会の数が増え、多くの新規花火の発生と共に、主催した自治体などが写真コンテストを行うなどして、タングステンフィルムでの撮影が一定の市民権を得る様になります。

E-6処理の時代になって飛躍的に画質が向上したポジフィルムのベルビアシリーズの発色が、現在の花火写真のスタンダードと化したのは実はつい最近の90年代なのです。

フィルム黄金時代後期の新たなスタイルによる撮影
【写真8】
色彩が多彩な花火は、従来の撮影方法の苦手とするものです。
80年代半ばを境目に急激に増えた花火大会では、海外の技法を多く取り入れ、青、白、緑などの新色花火が主流になりました。中国の輸入花火のスターマインなどは、バリウムによる緑の炎色反応光が強く、マジェンタが強調されるポジフィルムとの相性が良くありませんでした。また、特定の青色〜水色の光を出す花火は、多くのデーライトフィルムでの感光では実際よりもかなり暗く写ったりしました。

当然、花火のフォトコンテストでは、従来のマジェンタが強すぎるものより新色の発色を美しくとらえているものが好ましく、多くのカメラマンがタングステンフィルムで撮影したり色補正カラーフィルターを多用する様になった理由の一つとなりました。

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  稲垣 英徳   2007.08.01