【Photoshop for Photograph】
写真加工テクニック編 撮影テクニック編
撮影テクニック編
ネコの撮影テクニック「中編」
〜レンズを猫に上手く向けましょう〜

稲垣 英徳

褒める行為と、猫の性質
では、気難しいモデルで在る、猫の性質について少しだけ、触れて行きましょう。人物の撮影でも、モデルをその気にさせるのは、プロのカメラマンにとっては必須の能力の一つですが、それと同じく、猫もその気になって貰う必要が在ります。

最も、動物相手に、その気にさせるのは大変な事ですので、大抵の場合は、既に、その気になる訓練を受けた相手(猫タレント、又はショー用の猫)を採用して、撮影を行います。人間だって、美人ですが、カメラの前で固まってしまうどうしようも無い人と言うのは居ますし、ここら辺は猫にとっても同じ事で、全くダメな猫と言うのは居ます。

勿論、そんな予算も無い、又は自分の所の猫を出したいと言う飼い主兼デザイナーは多いので、その様な贅沢を言えないカメラマンが大半だと思いますので、実際には、猫と仲良くなり、その気になって貰う為に、猫を理解する努力も必要になって来ます。
セット上で遊んで貰っています。
猫と人間の関係は、猫から見た場合、一説には以下の様な関係で在ると言われています。

1. 子猫から育てられて猫は飼い主との間に於いて、永遠の子猫の性質を維持する。永遠の親子の様な存在となりますが、猫は自らが猫で在ると言う意識を保つ様です。そして親で在る存在の各種の賞賛を得る事を好みます。カメラマンのとの関係には当てはまりませんが、飼い主がセット前に居る時は大事になって来る性質です。

2. 猫は人間をアダプトし、狩りの能力の劣る子供、またはコロニーのパートナーとして扱う。雌猫に顕著な性質だそうです。その為に、半殺しの獲物を持って来ようとする性質が発露するのだそうで、一般的な親しい関係はこれが多い様です。カメラマンとの関係の最上はこれとなります。


3. 猫は人間のコロニーにアダプトされ、この為、狩りの行動等で、褒められるのを好む。猫は猫である意識を維持する。これはカメラマンと飼い主との関係が、頻繁に付き合いが在る、ご近所で在る等、日常顔を合せる場合や、飼い主の元にある程度大きくなって、但し未だ子猫の時に来た場合に有効な様です。

これらの性質を前提に、猫にポーズを取って貰う事となります。 簡単に誉め方の工夫と言えばそれ迄ですが、猫と飼い主、またはカメラマンとの関係を考慮した上で、誉めたリお願いをしたりする事で、望んだ行動に近い事を行って貰うのです。ここら辺は、得手不得手がかなり在る様ですので、動物に好かれない人の場合は難しいでしょう。

さて、撮影現場ではカメラマンと猫の関係はどの様な物となるでしょう? カメラマンが猫の撮影を行う場合、一般的には、2の関係で在る、「猫にアダプトされる関係」を目指します


この様に、遊びの催促をしてくれる様になってくれれば良いのです。猫のこの行為は捕えた獲物を養う相手に持って来る行為に相当するそうです。
アダプトされると言うと、なにか猫に飼われる様な気分ですが、単なる猫からの視点の物に過ぎず、こちら側は猫のその様な性質を上手く使って撮影出来れば良いので、特に気にすることは無いのです。写真の様に、遊びの催促をしてくれる行為は、猫の捕食する獲物を子猫や老猫に対して持って来て獲らせる行為に近いと言われますので、こちらが感謝して、誉め称える事に依って、猫の機嫌が良くなります。

又、コンスタントにタイミング良く誉めれば、猫は、撮影のセット内で色々な遊びの行動をとったり寛いだりする事が賞賛に繋がる事を理解しますので、積極的にセット内に陣取る様になりますので、この性質を利用する事に依って、大変スムーズに撮影が出来ると言う訳です。

猫にとって撮影は、お気に入りスポットでの遊びですから、一緒に遊んでいると言うスタンスが大事です。


一度猫が、撮影セットを気に入ると、今度はなるべく積極的にセット上で色々な事を行おうとする様になりますので、少なくとも、猫を追い回して苦労する事は無くなり、後は上手に、猫に合せた時間配分を行って、無駄無く、与えられた時間内に必要な写真を撮る作業に専念出来る事となります。

また、時間配分を効果的に行うと、猫が飽きず、嫌がらずにセットに居座ってくれる事になりますので。此処からは時間配分について述べて行きましょう。

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  稲垣 英徳   2007.04.27