【Photoshop for Photograph】
写真加工テクニック編 撮影テクニック編
撮影テクニック編
ネコの撮影テクニック「中編」
〜レンズを猫に上手く向けましょう〜

稲垣 英徳

撮影の時間の配分
どんなに忍耐強い猫でもコンスタントにフラッシュ光や他の強い撮影用の照明の下でずっと5〜6時間も大人しくして居る事は出来ません。

人間のモデルでも、5〜6時間も同じ所に居て色々ポーズをとる事は辛い物です。まして堪え性と言う物が非常に低い生き物と言われる猫は、自分にとって少しでも不快で有る状態が必要以上に続くならば、さっさとセットから逃げ出してしまうでしょう。

通常5〜6時間かかると言われる猫の撮影セッションの内、実際に景気良く猫を撮影出来る時間は短く、恐らく2時間も出来れば良い方でしょう。これは、猫の集中力が元々続かない生き物の為、実際に例えば飛び跳ねている所を撮るとか、セット内を歩き回っている所を撮る事に使える時間と言うのは大変短いからです。猫の集中力はどんなに頑張っても数十分程度しか持ちません。又、猫じゃらし等で遊んでいる、動きが在る物を撮ると言うのなら、恐らく一度に5分も持たないでしょう。これは、猫の狩りと言うのは瞬発的な物だからです。

もしクライエントの要求する物が、瞬発的な物を猫に要求される物で在る場合、5〜10分程度セット上で動いて貰い、その後、1時間は猫がダラダラと撮影セット上で寛いでいるのに付き合う必要が有ります。
寛ぎながら遊んで貰って、長丁場の撮影を楽しんで貰いましょう。それに依って猫がセットに居る事を嫌わなくなります。
この為、猫の撮影と言う物は、撮影するカメラマンがかなり綿密に計画を組んで挑む物だとも言えます。 計画と言っても、時間刻みにしても猫が何か時間通りにしてくれる訳では無いので、どちらかと言うと、猫の集中力がセット上で戻る20〜30分の間にどれだけの事が出来るか、それを綿密に準備する必要性が有ると言う事で有って、その為にマニュアルの様な物は、撮影のスタッフの方達、飼い主達と、撮影の準備をしながら、きっちり打ち合せをしておく必要が有ります。

猫はこちらの都合は気にせず、差し当たっての事に飽きれば、休憩に入りますので、その間に次にセットに戻って来て貰う時の事を打ち合わせたりする訳です。

また猫が休憩を要求した際は逆らわず、相手の希望を聞き入れる事が、結局長丁場で猫が撮影に付き合ってくれる事になりますので、無理に抱き上げセットに戻す様な行為はなるべく避けたい物です。
猫が休憩したら、こちらも撮影を休み、次に撮れる状態になった時にスムーズに動ける様に準備したり、猫が足下に遊びに来たときはその場でご機嫌とりをしたり、もし出来ればセット上で毛繕いをしてあげたりしてあげて、猫を飽きさせない様にしたい物です。

この写真のようなマクロ撮影は、鼻面にレンズを接近させる訳ですから、かなりもう撮影慣れして居る事が前提です。大人しくブラシをさせて貰える位、短時間で仲良くなれるなら試しても良いでしょう。


寛いで居る所のマクロ撮影です。
例えば、5時間と言う撮影時間を組んだ場合、最初の30分と終わりの30分は機材の設定、及び片付けに使われてしまいますから、実質4時間となります。
その内、飛び跳ねている所を撮るのに30分、セット上で色々ゴロゴロして居るのを撮ったりして慣れて貰うのに1〜2時間、座ったり横になってポーズをとってくれて居るのを撮るのに1時間。セットから猫が食事、トイレ、その他の休憩で居なくなるのが30分程度と言う風に見積もってしまいます。

もし、お気に入りスポットに上手くセットが組めない場合は、この『セット上で色々ゴロゴロして居るのを撮る』所が上手く行えない為に苦労しますので、慎重にお気に入りスポットを中心にセットを組み立てましょう。

まあ、気長に撮る事が一番です。


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  稲垣 英徳   2007.04.27