【Photoshop for Photograph】
写真加工テクニック編 撮影テクニック編
撮影テクニック編
ネコの撮影テクニック「後編」
〜レンズを猫に上手く向けましょう〜

稲垣 英徳

フラッシュ撮影は難しい?
フラッシュ撮影は一般的に、最もマスターするのが困難な物と言われています。これは、プロの用いる多くのフラッシュ撮影テクニックが、他の各種テクニックに比べると現代のカメラが持つ様々な便利機能に余り組み込まれて居ない部分だからです。 最も上手く連動して居る部分の象徴と言える、TTL機能でさえ、有り難みが在るのは、せいぜいホットシューに載せているフラッシュで撮る所迄で、それ以外のスレイブフラッシュなど複数のフラッシュを用いる環境では、この便利機能ですら邪魔な物に過ぎず、結局の所、フラッシュは予め固定された出力を使い、カメラ側で合せる昔ながらの手法を用いて撮るしか無い事が多いのです。これは、測光、その他の機能をカメラに任せっきりの習慣の付いた、多くの現代カメラマンにとっては大変難しい事です。
img07 【写真 10】
インドア撮影の基本形で在る、バウンス光に依る撮影。バウンス光を使いこなせれば、猫撮影は一気に簡単な物となります。
勿論、予算が許すなら、ワイアレススレイブ機能を持つ、カメラメーカー純正のフラッシュユニットを使う事で、TTL機能の恩恵を複数のフラッシュユニットを用いた場合でもある程度受ける事が出来ます。
最もこれらの選択肢は余り予算的に易しく在りませんし、十分な光量を得るのが大変です。ですから、スタジオ撮影に於いては、これらの便利機能は、全く無い物として、カメラマンは撮影のセットを組むのです。

あまり簡単にマスターする方法が無い以上、フラッシュ光に関して慣れるには、手持ちの機材で色々撮ってみるしか在りません。もし外付けのフラッシュユニットをお持ちでしたら、それらも色々な撮り方のスタイルが在りますので、色々実験して見ると良いでしょう。

何処かに講習に行く手も在りますが、プロのカメラマンの方達も所属している関係(マスコミ、イベント撮影、アパレル関連と随分違います。マスコミ内でも担当方面に依って随分フラッシュの使い方のスタイルが変わります。当然、コマーシャルスタジオもスタジオ毎に大分スタイルが違うのです)に依って様々なスタイルが在るのがフラッシュ撮影ですので、ホットシューマウントのフラッシュ一つでも色々なアプローチが在ります。どれか一つのアプローチが正しいと言う訳では在りませんので色々な人の意見を参考に自分のスタイルを作りたい物です。猫の撮影に於いては、直接フラッシュ光を当てる事は、猫の目を痛めない為にも、避けるべき物ですが、綺麗にされた光(筆者の場合は多重ディフューザーをスタジオフラッシュに被せています)の場合は問題が無いでしょう。ペット雑誌のカバーなどに使われている写真などでは、一部では銀傘で散らす程度の光を使っているカメラマンも見受けられますので、どの程度ディフューズさせた光を猫に当てるかはカメラマン各自の判断となります。
img11 【写真 11】
F13とかなり絞って撮ったのがこちらの写真です。一般的な猫の撮影指南書に在る写真とは随分違う出来上がりになります。
さて、一般的に例えばモデルさんのポートレイトは出来る限りの絞り開放で撮ります。ところが、コマーシャルスタジオに於ける撮影では、必ずしもこのルールは当てはまらず、実はかなり絞って女性を撮影したりします。似た様に、一般的なルールは、絞り開放で撮れとされている猫さんの撮影も、スタジオなどで、背景や光の条件さえなんとかなれば、同じくかなり絞った物を撮ったりします。

スタジオに於いて、フラッシュ撮影を行う最大の理由は、先ずフラッシュ光は自然光に最も近い光源で在る事も在りますが、それ以上に十分な光量を得易い事から、様々な撮り方が出来るようになると言う事です。猫撮影に於いての最大のメリットは、屋外の直射光でも当たっている所で撮らない限り難しい程、絞り込める事になるでしょう。通常のインドア撮影では絞り開放で撮る事が原則なのが、カメラマンの裁量に依ってフルセンサーサイズのデジタルカメラにとって望ましい、F8やさらに絞った値を使う事が可能です。これはカメラマンに、撮影に関して大きなコントロールを与える事となります。

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  稲垣 英徳   2007.05.01