【Photoshop for Photograph】
写真加工テクニック編 撮影テクニック編
撮影テクニック編
ネコの撮影テクニック「後編」
〜レンズを猫に上手く向けましょう〜

稲垣 英徳

さあ、撮ってみましょう
前編中編までは、精神論にも近いアプローチの方法を述べて来ましたが、後編では、より現実的な、猫に接近し、色々ポーズして貰う事に成功して居る前提で説明を行いたいと思います。

さて、猫が機嫌良くセットの上に乗ってくれる努力を成した後、現実的な問題として有るのは、「実際どうやって猫を撮ったら良いか?」と言う問題です。大抵の場合参考になるのは、かなりの少数派とも言える猫や犬を撮るのを専門にされて居る方達の作品を見る程度になってしまいます。

海外のペット雑誌や、写真集などがスタジオ撮影の良い参考になりますし、日本の国内の猫事情にあわせた猫撮影の指南書やネット記事も多く有りますので、家庭での猫撮影はそちらを参考にしても良いでしょう。
img01 【写真 1】
ポータブルのフラッシュユニットを使う撮影です。こちらの方がセットを使うよりも大抵の方にとっては成功率が高いのでポータブルのフラッシュユニットの使い方はマスターしたい所です。
全体的な傾向を述べれば、国内の一般向けの指南書は絞り開放をしてボケ味を出す事を目指します。コンパクトデジタルカメラでは勿論、可能な限りの開放を絞り優先モードで行う形を目指しますし、一般的なDSLRでの撮り方であってもそうでしょう。一般的なアプローチでは、フラッシュを使わず、【写真2】の様な柔らかい自然光や、インドア光での撮影を目指します。

これは、日本国内の住宅事情と相まっており、一言で言えば、写り込んで嬉しく無い物が家の中に雑然と多すぎると言う、兎小屋事情も在ります。日本において、ボケ味(英語でもBokehと表記されます)の観念が確立した事情が、猫の家庭内での撮影にも当てはまって居るのです。

img02 【写真 2】
国内の一般向けの指南書の目指す所の「飼い主宅であられもない姿で寝ている猫を撮る」と言う所です。
Canon EOS 20D /EF24-70mm F2.8L / 66mm / F2.8 / 1/6秒 / WB:オート / ISO400
また、絞りを開放する事で、ISO400〜ISO800程度の値だったら、インドア自然光撮影が可能になりますし、一般的な家庭の電灯の灯で撮影する事も可能です。近年のコンパクトデジタルカメラは、ISO1600〜ISO3200も可能な機種が在りますから、ますます高いISO値での撮影が推奨されるでしょう。実際、写真2の様に、猫が日中、室内で寛いでいる、少し薄暗い空間での撮影も、高いISO値に対応したカメラなら可能でしょう。これはインドアでの自然光撮影ですが、猫が寛いでいる所が薄暗い為に、シャッタースピードは遅いです。

他に大事なアプローチの違いとしては、多くの日本国内の猫撮影の指南書はジャーナリスティック撮影のアプローチを前提にしており、野良、外猫、自分の所の家猫の別で出会い、目線の合わせ方等に重点を置いて説明して居ますが、あくまでも偶発的な場所、条件で撮る事を前提として居ます。

【写真2】、【写真3】の様な撮り方は、良く在る指南本の言う所を念頭に置いた自然光撮影を念頭に行っていますが、この手の撮影アプローチは、コンスタントな結果を生み出すのは難しく、商用撮影で求められる、一定の質の物を決められた時間内に出すのが難しいのです。適当な光が出る天気と、猫の気が向くのを待っていたら、それこそ何時になったら求められている写真が出来るのかと言う問題が在ります。

【写真3】の窓からの光が間接的に入る明るい所で撮影されて居ますが、光の条件をここ迄整えるのは難しい為、時間と予算に限りの在る、商用撮影では勧められません。また、白抜きや黒抜きには不便です。それに対して、筆者の紹介して居るアプローチはインドア、及び、インドアコマーシャル撮影(所謂セットアップ撮影)を前提として居ます。


03 【写真 3】
一応、自然光での撮影です。所謂、自然光での猫撮影の模範の様な物です。
Canon EOS 20D / EF24-70mmF2.8L / 70mm / F3.5 / 1/200秒 / WB:オート / ISO100
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  稲垣 英徳   2007.05.01