肝心な所は、如何にコマーシャル撮影に要求される質を維持しながら、猫と言う気まぐれな対象を巧く撮るために、ジャーナリスティック撮影の手法で『用意された偶発的な物を撮る』かと言う事で有り、その為に、猫が遊び、くつろぐ場としての撮影セットの組み方に細心の注意を払います。これらは、よく有る猫撮りの指南書にも通じる物ですが、それ以降は、現実的なスタジオ、特にフラッシュ撮影テクニックの話となる訳です。商用撮影に於いてキッチリクッキリ撮る理由は、このタイプの撮影の場合、後でPhotoshopできれいに抜けるように撮る事を求められる為です。ジャーナリスティックスタイルの撮影は、後の暗室処理、現代ならフォトショップでの加工を前提に撮るのが基本のスタイルでは有りませんから、悪く言えば略撮りっぱなしになる為、後でどうにか出来ない為に色々困った事になります。そのまま使うカレンダーの様な用途の為に撮るならそれでも良いですが、白抜きした物を色々使いたい商用写真でそれは困ってしまうのです。
例えば、『写真2を白抜きにして使えるか??』ときかれたら、『無理です』と答えるしか無いと言う事が在ります。あれは、飼い主が一人でうっとりと眺めるのには良いですが、現実的な利用法は在りませんし、その様な用途は意図されて撮っては居ないのです。後々の白抜きの手間や、発生するフォトショップ上の制限を考えれば、コントロールされた照明条件下の背景の前に猫が居てくれる事が大事であって、撮り方も後の処理を前提とした物となります。例え、猫が準備されたセットアップに居なくても、写真1、写真4の様な感じで在れば、後々の処理は楽なのです。
中編では、後半部分に明るい照明を焚いての撮影と、フラッシュ撮影の二種類に分けられると説明致しましたが、後編では、猫のスタジオ撮影で最も大事な、フラッシュ撮影を主に触れて行きます。