レタッチと称した捏造。シズル感と称した偽装。Photoshopという強力な汎用機を手に入れた人類は、総人口の半分どころではなくほぼ全員を被搾取の状態へと至らしめた。にもかかわらず、“きれい”“おいしそう”“モテそう”という見た目の理由から、人々は自らの行為に喜悦した。
「いま、声が聞こえた! NEWなタイプは騙し合いの道具ではないって!」 「市場では強力な武器になる。やむを得んことだ」 「貴様だって、“クリエイティブ”だろうに!」
だが、新世代の時代が到来しつつあること、それもまた確かなことだった。彼らが表現行為に初めて触手を伸ばした時、すでにそこにはPhotoshopがあった。つまり、ハイエンドな機能を実装した最新鋭機がいきなり操作可能な状態で横たわっていたのである。 「こいつ……動くぞ!」
「最初のうちは振り回されてしまい、表現が“Photoshop的”になってしまっていたが、徐々にコントロールできるようになった。最新作の『2027』では、手描きのイラストのコントラスト調整やゴミ取り、あえて画像を劣化させたりしているケースが多いですね」
「活動開始当初はDIY至上主義というか、編集執筆デザインすべてを自分でやりきることが重要だと思っていた。今ではチームでの作業のほうが楽しいし、クオリティを保つのに重要だと思っています。このかたちで数年後には『2027』の続編を作りたい。ネットに喰われずにいかにサヴァイヴできるかがテーマです」