【Photoshop for Photograph】
写真加工テクニック編 撮影テクニック編

撮影テクニック編
Photoshopで出来る簡単なパノラマ 「中編 2」
稲垣 英徳
このような三脚を使用する公共の場での撮影に、いろいろな許可を得なければならないという現状こそが、アウトドアでのワンショット撮影への根強い欲求を欧米の市場において形成する原動力になっていたのでしょう。銃火器を一般市民が保有しているからこそ、とも言えますから、日本の三脚規制とは随分根っこの理由が違いますね。

90年代後半、北米では不動産市場のブームが起こり、不動産向けのワンショット撮影がもてはやされるようになります。大抵のこの手の撮影依頼は安価で、高額な魚眼レンズを使うのには不向きです。ですので、5MP程度のコンパクトデジタルカメラとワンショット機材だけの軽装備で活動する不動産物件撮影専門カメラマンの登場したのはこの頃です。


ワンショットの歴史:オーブ、そして鏡
写真 3 【写真 3】
ガーデニングで使用されるガラスオーブの例、『2006 NEW YORK BOTANICAL GARDENS / GLASSBLOWING BY DALE CHIHULY』より。撮影中の筆者や後ろの景色が写り込んでいますね。
鏡の歴史は古く、文明以前からあると言われます。古代最も著名な非平面鏡を挙げれば、第二次ポエ二戦争時のアルキメデスの凹面鏡兵器などがあります。近代写真が生まれてから、現代に至るまで、鏡面仕上げの球面や、水晶球などのオーブや凸面鏡を用いた写真が、頻繁に様々な白黒写真やカラー写真の作品でも登場していた事からも、この手の凸面鏡全般が西洋においては非常に馴染みが深いのがおわかりになるでしょう。

このオーブ、凸面鏡を撮影するもののうち、色調に変化が起き難く、歪みも一定な、良くある防犯用の鏡やドアノブ、そして鏡仕上げのオーブを使った撮影が、ワンショット撮影の直接の起源となります。
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  稲垣 英徳   2007.06.14