【Photoshop for Photograph】
写真加工テクニック編 撮影テクニック編

撮影テクニック編
Photoshopで出来る簡単なパノラマ 「中編 2」
稲垣 英徳
ワンショット:鏡撮影を展開すると

次は展開の話ですが、筆者が自作の球面鏡を使用する最大の理由は展開計算が簡単だからです。多くの既製のワンショット機材の場合、展開する為の専用ソフトが必要になる理由は、鏡の形状が少し複雑になる為、そして展開の最適化を行わない限り通常の処理では劣化がひどくなる為です。ですが、球状の鏡の展開はかなり楽なのです。それこそ、本来は高校生レベルの数学が出来れば直ぐなんとかなってしまうでしょう。
【写真 6】
鏡撮影した物を展開したもの。高い圧縮率では一気に画像が劣化します。また街中で手持ち撮影ですので完全な水平ではありません。
主なパノラマ撮影は、セグメント方式を用いることから展開する必要がある場合は、展開後は【写真 6】のように、お好みのソフトを使いQTVRに変換する事も可能です。是非いろいろな身近な鏡を使って実験してみると良いでしょう。

この手の機材はカメラに装着した場合、トップヘビーで鏡面がむき出しになる構造の物が多く、三脚に乗せてもバランスが悪いため、全体的に損耗率が非常に高いです。そのため既製品では、画質よりも丈夫で持ち運び性を重視した物が多く、ガラスに比べると軽く、壊れにくいプラスチック製の物も多くあり高いシェアを誇っております。 筆者の安い材料費で作られた自作機材は、鏡のガラス面へのコートも無いですが、高価な既製品と比べても十分比較することが出来ます。 自作の良い所は、壊れてもまたすぐにどうにか出来る所にあります。個人的な撮影プロジェクト等に使用するには十分ですので、ロシア製のレンズやピンホールカメラを使って撮るような楽しみがあります。
写真 7 【写真 7】
周囲の写真を短時間でキャプチャーしなければならない撮影ではたいへん有効です。
実際の商用アプリケーションでは、サンプルのように晴天のアウトドアでの使用は、この手の機材は直射の太陽を含めた点光源に弱い事から、傘になる構造を付けたりといろいろ工夫します。傘等を装備していない機材で撮られた【写真7、8】では、顕著なフレアやゴーストの問題がありますから、このようなワンショットでは、現在の多くのロシア製の魚眼レンズの使われ方と同じく、趣味や情報サイト用コンテンツ目的として扱うのが妥当でしょう。
写真 8 【写真 8】
展開前のもの。噴水のようにスキャン方式やセグメント方式で相性が悪い対象物も、鏡による撮影が最も向いている対象物でしょう。
実際、【写真 8】を展開すると【写真 9】となり、画質も低く面白みのある物ではありません。作品としては【写真 8】として楽しむべき物でしょう。
【写真 9】
QTVRに出力した元の解像度が低く、筆者が元々の用途でMOVファイルを小さくする為にJPEG圧縮率をかなり高くした事も有りますが、【写真 6】に比べると少し高めの画質で出力しています。その分サイズも一気に大きくなるという問題がありますので、この辺りの判断はカメラマン各自がするしか無いでしょう。
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  稲垣 英徳   2007.06.14