【Photoshop for Photograph】
写真加工テクニック編 撮影テクニック編

撮影テクニック編
Photoshopで出来る簡単なパノラマ 「中編 2」
稲垣 英徳
ワンショット:鏡
写真 4 【写真 4】
鏡によるワンショット撮影では、鏡の角度がレンズに対して垂直に近くなるほど、画質は低下します。(右側の二色の建物は、隠れた映画ロケ地。ハリウッド映画では、ペンタゴンの入り口の代役を勤めたりと、主にアメリカのお役所舞台の外観映画ロケに使われます。1915年築のお役所仕様のアールデコが好まれるようです)

さて、防犯用の鏡を使ったり、小さなミラーオーブ(電球から、クリスマスのオーナメント迄いろいろあります)を使ったりして、自らの周囲を魚眼レンズ並みの視野で撮影するコンセプトがいつ発生したかは不明ですが、少なくとも、フィルムカメラが普及し始めた時期には既にいろいろなカメラマンによって、試みられていました。この撮影方法は、欧米での鏡面仕上げの銀製品の多さ、当初のカメラは銀版で、カメラマンが銀のアマルガムを多用していた事、19〜20世紀にかけての中流家庭一家にワンセットは揃えられたという、銀食器などの銀製品ブームなどから、日本などに比べると、近代写真の歴史の比較的早い時期に思いつかれたものだったのでしょう。

そのため、デジタル処理の世界でも、この球面鏡で撮られた物をデジタル処理する能力は、最も古くコンピューターに求められた要求の一つで、実は1990年に発売されたPhotoshopのバージョン1でした。既に凸面鏡で撮影された物を処理するフィルターがPhotoshopの機能の一部として存在したのです。

アップル社がQuick Time VRを発表する11年前ですから、この写真のテクニックが、当時のカメラマンやグラアフィック関係のプログラマーに良く知られていた事がわかりますね。

写真 5 【図 4】
球面の鏡では、最大360x180度の視野が鏡からカメラに向かった方向に開けます。これは球が天頂方向にある場合は球赤道より下の半球に写し出される角度を撮るのに適しています。撮影できる画質は球の赤道位置に近づく程低下します。
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  稲垣 英徳   2007.06.14