さて、防犯用の鏡を使ったり、小さなミラーオーブ(電球から、クリスマスのオーナメント迄いろいろあります)を使ったりして、自らの周囲を魚眼レンズ並みの視野で撮影するコンセプトがいつ発生したかは不明ですが、少なくとも、フィルムカメラが普及し始めた時期には既にいろいろなカメラマンによって、試みられていました。この撮影方法は、欧米での鏡面仕上げの銀製品の多さ、当初のカメラは銀版で、カメラマンが銀のアマルガムを多用していた事、19〜20世紀にかけての中流家庭一家にワンセットは揃えられたという、銀食器などの銀製品ブームなどから、日本などに比べると、近代写真の歴史の比較的早い時期に思いつかれたものだったのでしょう。
そのため、デジタル処理の世界でも、この球面鏡で撮られた物をデジタル処理する能力は、最も古くコンピューターに求められた要求の一つで、実は1990年に発売されたPhotoshopのバージョン1でした。既に凸面鏡で撮影された物を処理するフィルターがPhotoshopの機能の一部として存在したのです。
アップル社がQuick
Time VRを発表する11年前ですから、この写真のテクニックが、当時のカメラマンやグラアフィック関係のプログラマーに良く知られていた事がわかりますね。