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Photoshop world Column
変わり続ける都市「東京」を撮り続ける写真プロジェクト、東京アーカイブ
TOKYO ARCHIVE#13
テキスト・茂手木秀行

様子を見に行ってきます

 
江東区豊洲6丁目
 
a_000_江東区豊洲6丁目
Copyright: Hideyuki Motegi
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※著作者に許諾をうけて、高解像度の作品をご提供いただいています。

誠に申し訳ないっ! まずは先に謝っちゃわないと。台風がくるとワクワクしちゃうんですよね。重く速くダイナミックな雲。遠望を遮断する強い雨。すべてを飲み込まんと口を開ける濁流の海。ああ、なんて魅力的なんでしょう。台風がくると必ず「様子を見てくる」といって出かけて帰らぬ人となる方がニュースになりますが、毎度幾人かの「様子を見なければならない」理由は僕と同じなんじゃないかと疑念を感じています。そうしたニュースを聞くといつかは僕の番だよな、と思うんですが。あああ、今回も「様子を見に」行ってしまいました……。

ビルを包み込む重い雲。不安をあおり立てるように屹立する電柱。ああ、今回も好きな風景を撮影できました。どうも、この電柱というものが大好きで、普段から電柱の写真を多く撮っています。これはいずれ写真展でも開いてやろうかと思っているくらいなのです。いつも、魅力的な電柱は常にチェックしているんですよ。今日も、「あ、あの電柱のところに行けば」と思い立ち「様子を見に」来たわけなんです。そして、やはり望んだ通りの風景がありました。いつもと違う風景が訪れる時が魅力的なんですよね。そして絵柄は先に考えているんです。けれども、あああ、いつかは僕もニュースになるに違いない。

そして最後に。今夏の台風4号は各地に甚大な被害をもたらしました。被災された各地の復興、そして、お亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。


What's "Tokyo Archive" ?
自分が生きる街、時代を写真家の目で記録し残す。これは、写真家という職業上の責務でもあり、見過ごすことのできない被写体です。心を同じくする仲間とともに始めました。そして、他の都市にも広がらせたい。それがアートでもあるわけです。写真が持つ記録という力を楽しみ蓄積し、後世に「平成」という街や時代や空気を伝えていく、東京アーカイブとはそんなプロジェクトです。
http://archive.ihf7.jp/
 
茂手木秀行
写真家1962 年東京生まれ。(株)マガジンハウス勤務、ポパイ編集部スタッフフォトグラファー。'90 年ごろより写真のデジタル加工を始め、'97 年ごろからは撮影もデジタル化。そして苦しむ。'03/'05 年雑誌写真記者会ファッション部門賞、'04 年雑誌写真記者会優秀賞受賞。'05 年個展「トーキョー湾岸」開催。「東京アーカイブ」主宰。


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