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Photoshop world Column
変わり続ける都市「東京」を撮り続ける写真プロジェクト、東京アーカイブ
TOKYO ARCHIVE#16
テキスト・茂手木秀行

メタボです!

 
 
Copyright: Hideyuki Motegi
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※著作者に許諾をうけて、高解像度の作品をご提供いただいています。

10月12日、建築家の黒川紀章氏がなくなりました。参院選出馬など活動的なアーティストであっただけにその訃報は突然のことのように思われました。黒川紀章氏は20世紀日本を代表する建築家であり、アーティストであったことに異論を挟む余地はありません。ルネサンス時代の建築家がイコール芸術家であり、科学者であり、思想家であったように、黒川紀章氏もまた建築の枠だけにとどまらない芸術家であったと思います。黒川紀章氏が提唱した建築理論メタボリズムは、都市の新陳代謝にその視点を置き国家の社会的成長までも視野の中においているようです。経済が拡張するなかの一事象として、都市を捉え、都市の成長に従い柔軟に変化に対応する。東京はまさに新陳代謝を繰り返し、変化を続けていますが一貫した計画性は乏しく個別発生的です。歴史にもしもはありませんが、もしもですよ、黒川紀章氏が仮想:都市計画大臣になっていたら。東京はどんなことになっていたのでしょう。アートでモダンな建築に囲まれ、世界でもっとも美しい建築都市なんて言われたかも知れませんよね。子供の頃のSFの世界観のようでもありワクワクしてしまいます。そこで、今月は黒川紀章氏の代表的作品である中銀カプセルタワーなのですが、本当にここはSFっぽいですね。友人が住んでいて、僕も遊びに行きましたが住居というより、アート作品でした。それでも寿命というものがあり、そろそろ立て替え時期のようですが、黒川紀章氏が提唱したごとくうまく新陳代謝して行くと良いですね。
http://www.kisho.co.jp/page.php/106

そして、偉大なる芸術家のご冥福をお祈り申し上げます。


What's "Tokyo Archive" ?
自分が生きる街、時代を写真家の目で記録し残す。これは、写真家という職業上の責務でもあり、見過ごすことのできない被写体です。心を同じくする仲間とともに始めました。そして、他の都市にも広がらせたい。それがアートでもあるわけです。写真が持つ記録という力を楽しみ蓄積し、後世に「平成」という街や時代や空気を伝えていく、東京アーカイブとはそんなプロジェクトです。
http://archive.ihf7.jp/
 
茂手木秀行
写真家1962 年東京生まれ。(株)マガジンハウス勤務、ポパイ編集部スタッフフォトグラファー。'90 年ごろより写真のデジタル加工を始め、'97 年ごろからは撮影もデジタル化。そして苦しむ。'03/'05 年雑誌写真記者会ファッション部門賞、'04 年雑誌写真記者会優秀賞受賞。'05 年個展「トーキョー湾岸」開催。「東京アーカイブ」主宰。


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