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Photoshop world Column
変わり続ける都市「東京」を撮り続ける写真プロジェクト、東京アーカイブ
TOKYO ARCHIVE#16
テキスト・茂手木秀行

寒い夜長のデジタルカメラ

 
江東区若洲
 
a_000_江東区若洲 若洲橋
Copyright: Hideyuki Motegi
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※著作者に許諾をうけて、高解像度の作品をご提供いただいています。

今年は本当に夏の長い年でしたね。ついこの間までTシャツだったのに、なんて思えるくらいです。ここ数日も小春日和だったりなんかして、もう師走だなんて信じられない気持ちです。でもですね、空はやっぱり季節を映すんですよね。まさに秋の夕暮れ、いかがです?秋の夕暮れはどうにも切なくていけません。なぜなんでしょう。ここ若洲橋の上からの夕暮れはまた格別です。向こうに見える山は富士山、手前は大東京の夜景ですからね。あれ、いろいろ入れ込んでいたらあまり切なくなくなってきました。
ところで、今月はカメラの話題をひとつ。今月の写真は6秒の長時間露光を3枚加算平均して、計18秒の露光なんです。一昔前のデジタルカメラではムリッなことでした。長時間露光をすると熱ノイズの影響で荒れた写真になってしまったのですね。実は、CCDは冷やすとノイズが減るんですよ。天体写真用途には「冷却CCD」なんてものがあって、何十分という露光をしてもきれいな画像なんですよ。冷却までしなくても、今年のデジタル一眼最新機種はどれも長時間露光の特性がよくて、夜景も星もよく写ります。フイルムではこうした問題はなかったのですが、「低照度相反則不軌」という現象があって、長時間露光をすると感度が低下してしまうので、計算通りに写らないという現象がありました。デジタルにはこれがないのですね。そして、長時間露光のノイズ問題もほぼ解決されてきました。いよいよ、フイルムでは無理だったと思える撮影がデジタルで出来るようになってきたのです。もうすぐ冬至。長い冬の夜、最新デジタルカメラで夜景撮影に挑戦!どうですか?寒い方がCCDの性能はあがりますし。くれぐれも体に気をつけてくださいね、人間は寒さに強くないですし。ってことで、良いお年をお迎えくださいませ!


What's "Tokyo Archive" ?
自分が生きる街、時代を写真家の目で記録し残す。これは、写真家という職業上の責務でもあり、見過ごすことのできない被写体です。心を同じくする仲間とともに始めました。そして、他の都市にも広がらせたい。それがアートでもあるわけです。写真が持つ記録という力を楽しみ蓄積し、後世に「平成」という街や時代や空気を伝えていく、東京アーカイブとはそんなプロジェクトです。
http://archive.ihf7.jp/
 
茂手木秀行
写真家1962 年東京生まれ。(株)マガジンハウス勤務、ポパイ編集部スタッフフォトグラファー。'90 年ごろより写真のデジタル加工を始め、'97 年ごろからは撮影もデジタル化。そして苦しむ。'03/'05 年雑誌写真記者会ファッション部門賞、'04 年雑誌写真記者会優秀賞受賞。'05 年個展「トーキョー湾岸」開催。「東京アーカイブ」主宰。


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