【Photoshop for Photograph】
写真加工テクニック編 撮影テクニック編

撮影テクニック編
Photoshopで出来る簡単なパノラマ 「前編」
稲垣 英徳
80年代後半に入ると、画期的な技術革新がモールド成形技術で起こった事から、今迄に比べると安価でありながら、高性能のレンズを一般消費者が手にする事が出来る様になった事も大きいでしょう。70〜80年代の消費者向けのレンズと80年代後半〜現代に至る消費者向けレンズは、同一価格のレンズであっても、描写力に大きな変化が現れたのです。これが元々レンズ付フィルムも含めた小型の高い光学性能を持つカメラの普及に貢献したのです。

具体的に述べると、70年代の消費者向けの安価レンズは、まるではっきりしない、ぼけた描写の物だったのが、80年代後半、90年代初頭になると、35mmフィルムをトリムし、引き延ばした物でも鮮明で十分観賞に耐えうる画質の物になった事から、引き延ばしが流行ったという事もあります。
【写真 8】
パノラマ仕様のカメラが出た頃、最も一般的だった38mmの画角相当で撮った物をトリムした物。この辺りの画角になると、かなり距離を取らないとパノラマ感が出難いですが、多くの観光などでの記念写真に多い海や山、湖などがバックグランドにある写真などでは、なんとかなってしまうケースが多かったのです。

この頃は一般的なアマチェア向けコンパクトカメラのズームの広角側が38mmの機種が多く、この為多くの人が使った自分の所有していたパノラマ仕様のカメラの、実際の水平画角は50-51度程度となりますので、こちらの方が目に馴染んでしまっていた人も多かったのでしょう。その為に、パノラマ専用のレンズ付フィルム(主に35mm)も広く感じられたのです。

さらに、当時の一眼レフカメラ入門ズームレンズも多くが35-70mmだった事を考えれば、35mmの画角が如何に支持を受け易かったかが判ります。
【写真 9】
デジタル一眼の時代になってから多く登場する様になった24mmが広角側のレンズをフルサイズセンサーのデジタルカメラで使うと、なんと73度の水平画角が得られます。これをトリムした物がこれです。70度以上の水平画角になって来るとかなりパノラマらしいですね。しかしながら歪みが顕著になって来ますので、撮影に技術を要する様になります。

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  稲垣 英徳   2007.05.14