【Photoshop for Photograph】
写真加工テクニック編 撮影テクニック編

撮影テクニック編
Photoshopで出来る簡単なパノラマ 「前編」
稲垣 英徳

この為、撮り直しなど量をこなす必要のある記念写真の撮影などを行う写真館では、ブローニー版の上下をトリミングする方法や、これらの中判カメラに35mmフィルムを入れる事に依って広角を得る方法、それに非常に近い理論のワイドビュー式が景色や集合写真用で人気を得ていました。

【写真 2】
35mm判で22mm(水平画角79度)の至近からの撮影です。ご覧の通り、短い距離ながら、纏まった人数の写真の撮影が出来るのが判りますね。中判ではさらに歪みの無い状態でこの画角が撮影出来るため、色々使われたのです。
「ワイドビュー式カメラ」は、イメージサークルを大きくする事によって横長に露出を出来る様にしたカメラの事で、現在のHasselblad社のX-Panなどもこの形式です。同じ様に、中判のカメラに35mmフィルムを入れてパノラマを撮るのも、中判のイメージサークルを利用して35mmのフィルムを露出させるだけの事なので、例えば標準レンズが80mmの中判カメラ(645など)で35mmのレンズを使用した場合、35mm換算で22mm(79度)の画角が得られます。(中判645デジタルカメラではこれが25mmになります)丁度写真 2】の様な22mm相当の画角が35mmの焦点距離で得られる645版(他の判と併せてブローニー版と総称されます)での撮影が非常に多かったのです。

中判カメラで使えるパノラマアダプターキットは、一昔前の記念写真屋さんの必須アイテムで、数十年前の一学級が40〜50人以上いた様なマンモス校時代の世代の人達の学年集合写真の様なパノラマ写真では、大いに活躍しました。同じくワイドビュー式のカメラも活躍しました。こちらの専用カメラは吃驚のお値段だった物です。最も、この時代は集合写真などが半ば強制購入だった事や、マンモス校時代で在った事を考えると、比較的簡単に投資が回収出来たのでしょう。ちなみに、似た様な理屈で中判のフィルムを使う中判ワイドビュー式カメラは、歪みが少ない事から、未だに建築撮影用などで使うプロの方がいます。

ブローニー版ではこの35mmフィルムを使うパノラマアダプターを使う以外にも、簡易でフィルムの上下部分を露出させないだけの安値アダプターなどがあり、それを単純にトリムするだけの方式に人気がありました。この方式35mm判での上下をトリムして使う方式の起源とも言えます。

これとは別に、雲台を回転させて繋げてパノラマを撮る方法は昔から知られていましたが、こちらは、大小各種のメーカーが色々なアプローチの雲台を売り出しており、それは現在のデジタルカメラの時代にまで受け繋がれています。この方式が実はフォトショップでのフォトマージに依るパノラマ作成機能などに繋がっているのですが、それは中編で述べましょう。
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  稲垣 英徳   2007.05.14