【Photoshop for Photograph】
写真加工テクニック編 撮影テクニック編

撮影テクニック編
Photoshopで出来る簡単なパノラマ 「前編」
稲垣 英徳
サイドノート:水平画角という用語

通常のカメラで画角という場合は、対角画角と呼ばれる、フィルムの対角線上での角度を指します。これが45度である場合、人間の目の見え方に近い事から、35mm判での50mmレンズの様な47度という近似値を持つレンズは「標準レンズ」と呼ばれます。対角画角はレンズの焦点距離が短い程大きく、焦点距離が長い程小さくなります。
ところが、トリムしてしまう事が前提のパノラマ写真や他フォーマットのフィルムの場合、この形式だけでは実際の画角が判らなくなってしまいます。この為に、横長露出ならば水平角度、縦長ならば垂直画角という物が大事になって来るのです。このtipsでも異なるフォーマットの事を触れたり、トリムを前提の撮影を行う事から、水平角度を基準にして画角の説明を行っています。

【写真 3】
APS-Cセンサー機で最も一般的な広角側の画角で在る18mmで撮った物。キャノンのAPS-C DSLRでは64度の水平角度が得られます。35mm換算では28.8mmの焦点距離ですね。ちなみに、同じ焦点距離で、ニコンのDXフォーマットセンサー機では、35mm換算で27mmの焦点距離、水平画角でなんと67度が得られます。
さて、これらの方式はデジタルカメラの時代にどうなったでしょうか?

デジタルカメラの時代になると、多くのカメラマンやデザイナーはデジタルカメラに移行を開始し、2007年現在では大半のカメラマンやデザイナー達は、デジタルカメラに頼る様になってしまいました。つまり、トリムなどの処理はPhotoshopで撮影後に行う方式になったのです。

もちろん、多くのフィルムの時代からの慣習はそのままPhotoshopにも持ち込まれた為(プリントの出力側の問題もあります)、パノラマの出力の処理等も、フィルムの時代からの処理の慣習を大きく引きずる物となりました。また、当初に多くのプロの人達が採用したデジタルカメラのセンサーのサイズはAPS-Cやそれをさらに下回るフォーサーズ、2/3などの今迄のフィルムとは比べ物にならない位小型のセンサーで在った事から、中判や35mmでは発生しない歪みを修正する必要に迫られた為、フォトショップでの処理にそれなりの時間を割く事になったのです。

デジタルカメラの時代が到来する前の90年代にトリミングタイプのパノラマ写真が一般消費者に定着した事もあり、クライエントに出来上がった写真を提出する際に、多くがこの90年代のトリミングタイプのパノラマ感を基準にした事も大きいでしょう。

先ずはその90年代のパノラマの方式について知る事でどの様な物がパノラマ写真と呼ばれる様になったかが判るので、その説明から入りたいと思います。

90年代、フィルムカメラの時代の末期に生まれた方式で、ミニラボなどでの統一規格になった物は二種類のトリミングです。一つは35mmの物、そしてもう一つはAPSフィルムの物です。これらを述べて行きましょう。
< Back  |3|1011|  Next >
  稲垣 英徳   2007.05.14