【Photoshop for Photograph】
写真加工テクニック編 撮影テクニック編

撮影テクニック編
Photoshopで出来る簡単なパノラマ 「前編」
稲垣 英徳
この事から、「パノラマプリントの感じでお願いします」と頼まれた場合、理想をいうなら、焦点距離35mmのレンズを使って撮ると一番、消費者が感じる歪みも無く違和感も少ないのでしょうが、やはり水平画角65度程度欲しい所もありますので出来れば35mm、フルサイズセンサーのカメラなら28mm、1.5x〜1.6xのクロップがあるカメラなら17-18mmの焦点距離は欲しい物です。 水平画角が65度以上在ると本当にパノラマらしくなって来ますし、フレーミングも35mm程苦労はしません。

では28mmで撮る時の実例を見ながら、フレミーングを見て行きましょう。
【図 1】
フルサイズセンサーで28mmレンズを使っている所。構図はこんな感じで取ります。赤くオーバーレイされているエリアが実際に使われる所ですので、そのエリアに重要な所が入る様にフレーミングをします。

昔の35mmフィルムのカメラでは、視界やフィルムをカバーする便利機能、またはパノラマ時のフレームが判るファインダーがある機種もあった様に記憶していますが、今のデジタルカメラにそういう物はありません。その為、頭の中でどのエリアがパノラマとして使われるか記憶しておく必要があります。

留意点としては、35mmそして、よりセンサーサイズの小さなデジタルカメラでは歪みが顕著になる為、構図的には画面中央になるべく真直ぐにしたい物を入れます。

丁度、写真のエリアでいう所の黒い円の中にある物が真直ぐになり、その外の物は少し傾いて行き、画面端では比較的大きく歪んで来る為、あまり重要な物、真直ぐに見えないとおかしい物は隅には入れられません。

クロップ1.6倍のカメラでの17mm若しくは、1.5倍ならば18mmのレンズでは28mmのレンズと比べると。中心の円の外のエリアではより歪みますので注意が必要です。基本的な理解としては、デジタルカメラのセンサーが小さくなればなるほど同一画角であってもレンズの焦点距離は小さくなって行きますから、センサーの小さな通常のコンパクトデジタルカメラではさらに注意を払う必要があると覚えると良いでしょう。

【写真 14】
トリムした物は28mmで撮影された物程度でかなりパノラマらしくなります。水平画角が65度以上在ると、色々な融通が効いてきますが、多くの状況ではもう少し角度が欲しく、当然ながらインドアの撮影ではパノラマ感を出す所まで及びません。

【図1】をトリムすると、【写真14】となります。水平画角が65度ある28mm広角レンズでは、【写真14】の様にちょっとした間合いに余裕のある住宅街なら何とかなります。35mmのレンズでは、厳しくなり恐らく建物を綺麗に入れての広角は難しいでしょう。35mmレンズを使用する場合は、もう少し開けた所で使うか、下がれるなら、下がった位置からの撮影となります。

写真を撮る際のコツとしては、当たり前ですが正面至近に物が無い事、そしてなるべく全ての物が一定の以上の距離を保てている事が条件となります。

例えば、筆者が撮影する場合、いわゆる「無限域側」のピントに殆どが収まる事にする様に注意を払います。一般的なメータ付の28/35mmの単焦点レンズだと判り易いですが、これはつまり、最低でも15mの距離を保つ事を前提にしています。また、フォーカス域内に、消失点を何処かに得られると通常のパノラマとして有効な物となります。間合いが厳しい【写真10】でも道路の奥行きが消失点として機能しています。インドアでは、これらの事が28/35mmの広角では難しい為に、パノラマ感が生じ難いのです。この為、無理にトリムした物は圧迫感を感じる様になります。

また、撮影対象にある程度の距離がある場合(遠景など)は消失点は必要は無い事も留意する必要があります。綺麗な横並びに見えるならそれはそれで良いのです。この辺りのコツを使っているのが【写真12】となります。遠景を撮る時に使えるコツですね。この手のアウトドアでは消失点として使える物が見つけやすく後は単純に、きっちり入れたいものをトリムされないフレーム内に入れれば良いだけですので、かなり簡単な作業と言えるでしょう。
< Back  |9|1011|  Next >
  稲垣 英徳   2007.05.14