【写真3〜4】の作者である、Barnard, George N.の使った様なカメラは馬車の荷台その物の様な大きな物、そして、持ち運び出来るタイプも、人夫が数人がかりで山や高い建物の上迄運び上げないといけないような物だったことを考えれば、フィルムの登場と共に登場した、手で持てるフィルムカメラの優位性は明らかだったのです。また、フィルムの場合、曲げる事が出来ますから、比較的小さなカメラのボックスの中で、広視野の撮影が可能になったことも、画質では未だ勝っていたこのタイプのカメラによるアウトドア撮影が一気に廃れる理由になりました。
そして、パノラマ撮影も一気にフィルムを使用したスキャン方式のカメラに移っていったのです。
フィルムと共に
19世紀末のフィルムの発明、及び、20世紀初頭のロールフィルムの普及により、パノラマ撮影は一気にスキャン方式の撮影法が主流となります。スキャン方式では、セグメント方式の撮影の様な、明らかに判る露出の違いや、つなぎ目は見えませんから、これが完成されたパノラマ写真として、正統派パノラマを名乗ることとなります。また、20世紀の半ばにはレンズの性能の向上と共に、中判や35mmのフォーマットが普及したことから、トリムする方式が経済的な撮影の主流になりますので、この手法は比較的マイナーな手法として存在する事になりました。
例外としては、ピンホールカメラなどで、印画紙に直接焼き付ける物や、第二次大戦後に現れた、判の大きなポラロイド等を並べる物で、これは個展等などでは現在に至るまで頻繁に登場しています。