【Photoshop for Photograph】
写真加工テクニック編 撮影テクニック編

撮影テクニック編
Photoshopで出来る簡単なパノラマ 「中編 1」
稲垣 英徳
パノラマ撮影専用雲台の使い方(ノーダルポイント)

細かい使用方法、及び操作方法は、各雲台メーカーごとに微妙な差がありますので、ここでは、最も基本的なことだけ述べます。

専用雲台を使うためには、先ず手持ちのレンズの絞りと焦点中心(ノーダルポイント)の位置がレンズのどの辺りにあるかを知る必要があります。昔のレンズは単焦点であれば大抵は真ん中、もしくは絞り調整の位置近くにあったのですが、現在のレンズではそれは必ずしも当てはまりません。特に最近のデジタルカメラに対応したタイプのレンズの場合、絞りの位置はどちらかと言うと前面に出てきている傾向があります。これはCCDになるべくまっすぐの光を当てるために、ある程度のスペースが絞りを通過した後に必要になるためです 。
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【写真 11】
メーカーのレンズの構成図を元に、焦点中心(ノーダルポイント)のおおまかな位置を特定し、それを雲台の回転の中心に合せます。この写真では判りやすい、水平撮影アダプタを使用しています。
このため、使用しているレンズの構成図がメーカーのサイト等から入手可能であるのなら、取りあえずダウンロードして、お手持ちのレンズの絞り位置が何処にあるか、確認してみる必要があります。

なぜこの様な面倒なことを行うかというと、多くのメーカーはノーダルポイントのデータを公開していない為です。またノーダルポイントはズームレンズなどでは、ズームの位置によって変化する物もありますので、細かい所は、自らの視覚を頼って調整することが多いのです。

大抵の場合は近くのまっすぐな棒や建物にピントを合せ、雲台を左右にパンさせることによって視差を確認、調整できます。そ多くのパノラマ雲台のメーカーは、この調整する方法を推奨していますので、何処のメーカーのサイトにいっても似た様なtipsを見つける事ができるでしょう。

たとえ、レンズ構成図でおおまかなノーダルポイントがわかっても、微調整はこの左右にパンさせる方法で行うと、間違いが少ないでしょう。ただ、あらかじめ、絞りがあると予測される近辺から始められるとノーダルポイントを見つけるのは非常に早くなると覚えていて頂ければ良いです。(これについてのtipsは、説明すると長くなりますので、別の機会に説明できればと思います。)

【写真11】では、Canon EOS 20DにマウントされたEF-S 17-85mm F4-5.6 IS USMレンズのレンズ構成図をもとに大体のノーダルポイントの位置を特定しています。後は前述した左右にパンさせてより正確な位置を特定すれば良いのです。一度特定したら後は回転の軸の真上に来るようにすれば良いのです。ここまでの操作の流れ自体は機種ごとの多少の差はあっても、メーカーの大小、機材の値段等に関わらずパノラマ雲台であれば大筋は同じです。多少の誤差は、使用しているソフトによっては修正できますが、その分画質の低下を伴うことが多いため、なるべく正確なノーダルポイントを出したいものです。
【写真 12】
例えば、この写真の様に至近視野に入る柵の様な物がある場合、ノーダルポイントを抑える事は非常に大事になります。遠景だけならあまり問題になりませが、至近にこの様な構造物がある場合は、色々問題が発生するのです。【写真12】は、NJ州側から望んだマンハッタン島です。
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このノーダルポイントの特定を怠ると、どの様な雲台を使用していても視差の問題に直面するのを避けられません。すでに各種レンズ、カメラに合せた固定された設定を持つ高額雲台なら別ですが、多くの雲台はこの様な手作業を要します。逆を言えば、この絞りの位置さえ回転の中心にすえればどの様な雲台であっても、パノラマ撮影はできる事から、前述したように、ネット上などでは多様な雲台を見つける事ができます。

ノーダルポイントに関しては、一部のレンズは、ノーダルポイントのデータがネット上で見つけられますので、それらを参考にしても良いでしょう。ただし、ネット上のデータを参考にする場合は、どの様な計測方法、データを基にノーダルポイントの数値を出したかに留意する必要があります。一部のデータはメーカー等から資料に基づいた物ですが、多くはサイトの運営者が前述の方法で近似値を出しただけの物ですから誤っている可能性も高いため、注意が必要です。
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  稲垣 英徳   2007.05.23